日本における予防可能な危険因子についてまとめました。

日本における予防可能な危険因子についてまとめました。戦前、日本人の多くは感染症によって死亡していました。戦後、公衆衛生の向上や国民皆保険の確立によって、感染症による死亡は減り、非感染症による死亡が増えました。非感染症による死亡の中には、危険因子がすでに特定されており、予防可能な危険因子も少なくありません。「2007年の日本における危険因子に関連する非感染性疾患と外因による死亡数」という有名な報告があります。具体的には、日本における感染症以外の死因を、循環器疾患、悪性新生物、糖尿病、その他の非感染性疾病、呼吸器系疾患、外因に分類し、危険因子をまとめた結果が上記です。喫煙、高血圧が圧倒的に多く、運動不足、高血糖、食塩摂取、飲酒、ヘリコバクターピロリ感染、高LDLコレステロール血症が続き、C型肝炎ウイルス感染、多価不飽和脂肪酸の低摂取、過体重・肥満(高BMI)、B型肝炎ウイルス感染、野菜果物の低摂取と続きます。

  

男女別で見ても概ね同様で、男性では、喫煙、高血圧、飲酒、運動不足、ヘリコバクターピロリ感染、食塩摂取、高血糖の順に多く、女性では、高血圧、喫煙、運動不足、高血糖、食塩摂取、高LDLコレステロール血症、ヘリコバクターピロリ感染の順に多いです。詳しくは下記論文をご覧ください。

「What has made the population of Japan healthy?」→http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(11)61055-6/fulltext

「日本:国民皆保険達成から50年なぜ日本国民は健康なのか」→http://www.jcie.or.jp/japan/pub/pdf/1447/s1.pdf

「Adult mortality attributable to preventable risk factors for non-communicable diseases and injuries in Japan: a comparative risk assessment」→https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22291576

厚生労働省「健康日本21(第二次)」→http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21

いずれにせよ、喫煙、高血圧症が2大危険因子であり、喫煙と高血圧症に対する介入が非常に重要であることがわかります。先日、当院の高血圧症の診療指針をアップデートしましたが、喫煙もなく、血圧も正常であることが一番理想であり、なぜこのような診療指針を取っているかをご理解いただけるのではないかと思います。喫煙者で血圧高値の場合はまずは禁煙を優先とすることで、事実、禁煙後に血圧が正常範囲になった方は当院では非常に多く、血圧が正常範囲であれば勿論降圧薬も不要です。煙草も吸わずに、降圧薬も飲む必要がない状態、これが一番健康的であり、禁煙という1つの行動変容によって2大危険因子を2つとも解決可能という意味で一石二鳥です。詳しくは下記ページをご覧ください。

https://ochanomizunaika.com/2018-0407

大阪国際がんセンターのページ、産業医科大学の大和浩先生のページにも非常に詳しくまとまっていましたので、ぜひご覧ください。

大阪国際がんセンター「タバコ対策は優先順位第一位!」→http://www.mc.pref.osaka.jp/ocr/t_measures/t_measures1.html

「わが国の今後の喫煙対策と受動喫煙対策の方向性とその推進に関する研究」→http://www.tobacco-control.jp


【院長挨拶】

医療法人社団お茶会お茶の水循環器内科院長の五十嵐健祐と申します。当院は2014年秋、「心血管疾患の一次予防」を理念に神田小川町でスタートしました。2016年春、神田神保町にお引越し、2018年春、医療法人化に伴い、循環器専門の医療機関として生まれ変わりました。我々の使命は「世の中から救えるはずの病気をなくすこと」です。世の中には救える病気とそうでない病気があります。その中で、心筋梗塞と脳卒中は血管の故障が原因であり、防ぐためには血管を守ることが重要です。我々の理念は「血管を守る」です。具体的に血管を守るためには、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、心房細動、慢性腎臓病等の心血管疾患の危険因子に対して適切な治療介入と治療継続が大切です。一方で、多くの医療機関の外来が空いている平日日中は、現代人の生活で仕事や用事があることは普通のことであり、仕事をしながらの治療継続には大きな負担が伴います。我々はそこのミスマッチを解決するために、夜間も土日も診療をオープンにし、心血管疾患の危険因子に対して適切な治療介入と治療継続を行っています。しかしながら残念なことに、土日も夜間も診療をしていると、お茶会の理念とは無関係に、ただ夜も空いているから、ただ土日もやっているから、ただ便利だからという理由だけで患者さんが殺到し過ぎてしまい、2018年冬、一時期は診療体制の維持が困難な事態に陥ってしまいました。

医療法人社団お茶会ミッション→https://ochanomizunaika.com/mission

「その医療は心筋梗塞を減らすだろうか?」という行動規範のもと、ゼロベースで全ての診療体制の見直しを実施しました。熟考の結果、循環器特化という選択と集中、意思決定を行い、2018年春に医療法人化に伴い、「お茶の水循環器内科」として再スタートを切りました。「血管を守る」を理念に、今後とも夜間も土日も診療をオープンにし、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、心房細動、慢性腎臓病等の心血管疾患の危険因子に対して適切な治療介入と治療継続を実現していくことで、心筋梗塞と脳卒中を防ぎ、「世の中から救えるはずの病気をなくすこと」、これが我々の使命です。詳しくは上記ページに医療法人社団お茶会のミッションをまとめましたのでご覧ください。新しく生まれ変わったお茶の水循環器内科をどうぞよろしくお願いいたします。

医療法人社団お茶会理事長五十嵐健祐

【具体的な診療範囲】

当院は循環器専門の医療機関です。循環器とは心臓と血管を専門に診る診療科です。具体的には、狭心症、心筋梗塞などの冠動脈疾患、抗血小板療法、抗凝固療法、心房細動を始めとする不整脈、高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病、慢性心不全などの循環器疾患です。循環器の診療範囲を具体的にまとめました。

・冠動脈疾患(急性心筋梗塞、労作性狭心症、他)

・心筋梗塞後、ステント留置後の管理、抗血小板療法

・慢性心不全の管理

・心臓弁膜症(僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、他)

・人工弁置換術後の管理、抗凝固療法

・心筋症(拡張型心筋症、肥大型心筋症、他)

・不整脈(上室期外収縮、心室期外収縮、房室ブロック、心房細動、他)

・心房細動の抗凝固療法、心原性脳塞栓症の予防

・脳卒中、脳血管障害、脳梗塞(ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症)、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作、脳卒中後の管理、二次予防、再発予防

・高血圧症、二次性高血圧症

・脂質異常症、家族性高コレステロール血症

・糖尿病、糖尿病合併症の管理

・慢性腎臓病

・睡眠時無呼吸症候群

・その他、健診の再検査、食事指導、運動指導、禁煙外来、など

以上、心臓と血管を専門に診る診療科が循環器です。脳梗塞や脳出血等の脳血管障害、脳卒中は脳神経内科や脳神経外科が診ることも多いですが、どちらも血管の故障の予防という意味では一次予防、二次予防としてやるべきことは循環器と共通です。高血圧症、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病等の生活習慣病も循環器病のリスク因子という点で循環器の守備範囲です。心筋梗塞や脳卒中にならないようにする、なってしまっても再発しないようにする、というのが循環器の仕事です。

【当院で対応していないもの】(2018/4/1更新)

当院で対応していないものを具体的にまとめました。定期的に見直しを行っていますので、ご来院の前には必ずご確認ください。ご来院いただいても受付にて適切な診療科のご紹介の対応となることを予めご了承ください。下記に具体的にまとめましたので、診療科探しの際にご参考ください。

・発熱、インフルエンザ等→一般内科

・喉痛み、鼻づまり等→耳鼻咽喉科

・咳、痰等→呼吸器内科

・吐気、下痢、腹痛等→消化器内科

・花粉症、アレルギー等→アレルギー科

・不眠、不安等→心療内科等

東京都の医療機関探しは、東京都医療機関案内ひまわり(☎ 03-5272-0303)をご活用ください。幸い、首都圏には夜間や土日も診療しているクリニックは当院以外にも最近少しづつ増えて来ています。随時紹介状の発行も行っていますのでお気軽にご相談ください。ご理解とご協力のほどよろしくお願いいたします。

【お茶の水循環器内科禁煙宣言2018】

喫煙は循環器疾患の明らかな危険因子です。煙草に対する当院の診療指針をまとめました。

1、当院は全ての喫煙者に対して禁煙を全ての治療に優先します。

煙草は1本から有害です。当院の診療指針として、具体的には、喫煙者で血圧高値の場合はまずは禁煙を優先とし、禁煙後もなお血圧高値を認める場合に限り、高血圧症に対する治療を考慮という診療指針とします。なぜなら、有害物質を摂取している場合、国民医療費を使った降圧薬等による薬物治療よりも先に有害物質の摂取の見直しが優先であると当院は考えるからです。

2、ニコチン依存状態の方には全例禁煙外来を紹介します。

近年普及傾向の加熱式タバコ、電子タバコ等にも大量のニコチンが含まれており、ニコチン依存状態であることに何の変わりはありません。いずれも、ニコチンからの根本的な離脱がゴールです。

3、それでも禁煙しない喫煙者は最終喫煙後8時間以上空けて受診ください。

喫煙者の呼気からは最終喫煙後8時間に渡って一酸化炭素等の有害物質が検出されることがわかっています。当院では呼気煙も含む受動喫煙防止の観点から、どうしても禁煙をしない場合でも最終喫煙後8時間以上空けてご来院ください。喫煙者は呼気煙を通して最終喫煙後8時間に渡って周囲の方へ健康被害を与える危険性があり、喫煙者が当院通院中の非喫煙者に対して健康被害を与えることがあってはならないと当院は考えるからです。

4、当院のスタッフは全て非喫煙者です。医療従事者として当然のことですが、当院はニコチン依存状態の人を採用しません。医療従事者だけではなく、日本から喫煙者がいなくなり、喫煙及び受動喫煙の健康被害に苦しむ人がゼロになることを心から願っています。

当院の診療指針にご理解いただけない場合は他の医療機関をご紹介しています。遠慮なく主治医または受付までお申し出ください。

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