2020/2/7(金)、身体活動のリモートモニタリングにおいてスマートフォンとウエアラブルデバイスの継続率を比較した研究「Smartphones vs Wearable Devices for Remotely Monitoring Physical Activity After Hospital Discharge: A Secondary Analysis of a Randomized Clinical Trial」の結果をまとめました。

2020/2/7(金)、身体活動のリモートモニタリングにおいてスマートフォンとウエアラブルデバイスの継続率を比較した研究「Smartphones vs Wearable Devices for Remotely Monitoring Physical Activity After Hospital Discharge: A Secondary Analysis of a Randomized Clinical Trial」の結果をまとめました。アメリカの成人の80%近くは身体活動をトラック可能なスマートフォンを保有しており、またウエアラブルデバイスも普及して来ています。スマートフォンとウエアラブルデバイスのどちらが長期的なリモートモニタリングに向いているのかを検討するために、退院後6ヶ月間の比較試験を行いました。ペンシルバニア大学にて、「Consolidated Standards of Reporting Trials(CONSORT)」研究の二次解析として、2017年から2019年まで、フィラデルフィアとペンシルバニアにおいて、スマートフォンのみの群250例と、ウエアラブルデバイス「Withings Steel」を使う群250例とに分け、6ヶ月間追跡しました。全ての被験者には4日連続以上データの転送がないと、テキストメッセージ、メール、ボイスメッセージ等で通知が送られました。30日後、90日後、180日後のデータ転送の継続率を追跡しました。年齢、性別、人種、民族性、保険、教育、家族状況、年間の所得、BMI、チャールソン併存疾患指数(Charlson Comorbidity Index score: CCI socore)などによって補正、死亡(5 vs 7)、死亡も含めた脱落(7 vs 12)を除き、意図治療解析(intention-to-treat analysis)を行いました。結果、スマートフォン群とウエアラブル群のデータ転送継続率は、30日後時点(86.7% vs 81.9% difference 4.9% 95%CI −1.5 to 11.3 P =0.13)においては両群間で差を認めませんでしたが、90日後時点(77.6% vs 67.6% difference 9.9% 95%CI 2.1 to 17.8 P=0.01)、180日後時点(61.2% vs 46.5% difference 14.7% 95%CI 6.0 to 23.5 P=0.001)では有意差を認めました。180日後時点で、スマートフォン群はウエアラブル群と比較して、データ転送率が有意に高い(69.4% vs 58.9% difference 10.5% 95%CI 4.4 to 17.8 P =0.001)という結果を認めました。多変量モデルにおいてもスマートフォン群で離脱率の低さ(lower discontinuation)において有意差(HR 0.66 95%CI 0.50-0.86 P=0.002)を認めました。また、男性であること(Being male)は離脱率の低さ(HR 0.71 95%CI 0.53-0.95 P=0.02)と、メディケア(Medicare insurance)に加入していることは離脱率の高さ(HR 2.05 95%CI 1.41-2.96 P<0.001)と有意に関係していました。退院後180日後時点において、データ転送の継続率は、スマートフォン群はウエアラブル群と比較して32%高く(61.2% vs 46.5%)という結果を認めました。この研究は1つのデバイスにおける身体活動のみのデータに限られており、睡眠データなど他のデータに関しては今後の改良がされていく可能性があること、スマートフォンは常に身近にある(ユビキタス: ubiquitious)であり、スマートフォンを活用した臨床行動のリモートモニタリングはスケール化可能なアプローチ(scalable approach)になりうると論文ではまとめています。
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2760436
ウエアラブルデバイス、スマートフォンによる身体活動のモニタリングに対する興味深い研究です。ウエアラブルデバイスの商品の違い等にもよるのでしょうが、ウエアラブルデバイスよりもスマートフォンのほうが継続率が高いという研究です。また、この手の活動量等のログ系のサービスは女性のほうが継続率が高いのではないかというのが通説ではありましたが、今回の研究では男性のほうが離脱率の低さと関係していました。どのような身体活動をどのようにトラッキングするかにもよるのでしょうし、国や文化の違いもあるのかも知れません。

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