2020/3/27(金)、日本糖尿病学会「メトホルミンの適正使用に関するRecommendation」が改訂されました。

2020/3/27(金)、日本糖尿病学会「メトホルミンの適正使用に関するRecommendation」が改訂されました。
http://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?content_id=20
2012年、「ビグアナイド薬の適正使用に関するRecommendation」第1版が発行、その後何度か改訂、このたび第4回目の改訂が行われました。内容としては乳酸アシドーシスについての注意喚起が中心です。具体的には、乳酸アシドーシスの症例に多く認められた特徴として、
(1)腎機能障害患者(透析患者を含む)
(2)脱水、シックデイ、過度のアルコール摂取など、患者への注意・指導が必要な状態
(3)心血管・肺機能障害、手術前後、肝機能障害などの患者
(4)高齢者
が挙げられており、また、高齢者だけでなく、比較的若年者でも少量投与でも、上記の特徴を有する患者で、乳酸アシドー シスの発現が報告されていることに注意と強調されました。
〔Recommendation〕
経口摂取が困難な患者や寝たきりなど、全身状態が悪い患者には投与しないことを大前提とし、以下の事項に留意
(1)腎機能障害患者(透析患者を含む)
・eGFR 30未満の場合はメトホルミン禁忌
・eGFR 30-45の場合はリスクとベネフィットを勘案して慎重投与
・eGFR 30-60の場合は腎機能に応じて用量調整
・eGFR 30-60の場合、ヨード造影剤投与後48時間はメトホルミンを再開しない
・腎血流を低下させる薬剤(レニン・アンジオテンシン系の阻害薬、利尿薬、NSAIDs等)の使用中は腎機能を頻回にチェック
(2)脱水、シックデイ、過度のアルコール摂取などの患者への注意・指導が必要な状態
・脱水、下痢、嘔吐等の胃腸障害、過度のアルコール摂取で禁忌
・利尿作用を有する薬剤(利尿剤、SGLT2阻害薬等) の併用時には脱水に注意
・シックデイの際には一旦服薬中止、主治医に相談
(3)心血管・肺機能障害、手術前後、肝機能障害などの患者
・高度の心血管・肺機能障害(ショック、急性うっ血性心不全、急性心 筋梗塞、呼吸不全、肺塞栓など低酸素血症を伴いやすい状態)、外科手術(飲食物の摂取が制限されない小手術を除く)前後の患者には禁忌
・軽度から中等度の肝機能障害には慎重投与
(4)高齢者
慎重投与、定期的に腎機能、肝機能をチェックして投与量調整、特に75歳以上では慎重判断
詳しくは日本糖尿病学会「メトホルミンの適正使用に関するRecommendation」をご覧ください。
日本糖尿病学会「メトホルミンの適正使用に関するRecommendation」→http://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?content_id=20
メトホルミンは添付文書を守って使えば安全で有効性の高い薬です。循環器関係であれば、腎機能は勿論のこと、心不全、造影剤を使う検査などでは注意が必要です。何かわからないことがあれば主治医にご相談ください。


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