2020/3/15(水)、冠動脈石灰化と長期の動脈硬化性心血管疾患イベントリスクとの関係を調べた研究「Coronary Artery Calcification, Statin Use and Long-Term Risk of Atherosclerotic Cardiovascular Disease Events: from the Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis」の結果をまとめました。冠動脈石灰化(coronary artery calcium: CAC)は、スタチン内服においても動脈硬化性心血管疾患(atherosclerotic cardiovascular disease: ASCVD)イベントのリスク因子として残るかどうかを調べるために、前向きコホート研究を行いました。2000円から2002年まで、臨床的に動脈硬化性心血管疾患の既往のない6814例を対象に、2002-2004年、2004-2006年、2005-2007年、2010-2012年と、電子ジーム(electron-beam CT)、多検出器列CT(multidetector CT system)、4回フォローアップを行いました。スタチン使用者は6811例(平均62歳、女性53%、白人38%、中国系アメリカ人12%、アフリカ系アメリカ人28%、ヒスパニック22%)でした。多変量解析の結果、冠動脈石灰化スコア0以上の群は、スタチンの使用と関係なく、動脈硬化性心血管疾患リスクを有意に上昇させることがわかりました。具体的には、冠動脈石灰化スコア0以上の動脈硬化性心血管疾患に対するハザード比は、2.46(95%CI 1.41-4.28)、スタチン比使用者では2.21(95%CI 1.56-3.15)、スタチン内服開始者2.21(1.56-3.15)でした。スタチン内服とは影響なく、冠動脈石灰化は動脈硬化性心血管疾患の発症と関係を認めました。詳しくは論文をご覧ください。
→https://www.ajconline.org/article/S0002-9149(19)31500-0/fulltext
冠動脈石灰化は冠動脈疾患の危険因子であり、スタチン内服の有無に影響を受けないという研究結果です。冠動脈石灰化が過去から現在までの冠動脈の動脈硬化の蓄積を反映するのに対し、スタチンの内服は現在から未来への動脈硬化を予防するものであり、役割が違うということでしょう。詳しくは主治医までご相談ください。
2020/3/15(水)、冠動脈石灰化と長期の動脈硬化性心血管疾患イベントリスクとの関係を調べた研究「Coronary Artery Calcification, Statin Use and Long-Term Risk of Atherosclerotic Cardiovascular Disease Events: from the Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis」の結果をまとめました。