2020/3/23(月)、院外心停止に対する体外循環式心肺蘇生の神経転帰における低灌流時間の影響について調べた日本の研究「Impact of Low-Flow Duration on Favorable Neurological Outcomes of Extracorporeal Cardiopulmonary Resuscitation After Out-of-Hospital Cardiac Arrest: A Multicenter Prospective Study」の結果をまとめました。

2020/3/23(月)、院外心停止に対する体外循環式心肺蘇生の神経転帰における低灌流時間の影響について調べた日本の研究「Impact of Low-Flow Duration on Favorable Neurological Outcomes of Extracorporeal Cardiopulmonary Resuscitation After Out-of-Hospital Cardiac Arrest: A Multicenter Prospective Study」の結果をまとめました。体外循環式心肺蘇生(Extracorporeal Cardiopulmonary Resuscitation: ECPR)は、従来の心肺蘇生に抵抗性の症例に対して効果が期待されていますが、導入の適応については明確なルールがありませんでした。低灌流時間(Low-Flow Duration: LFD)は最も頻用される指標であり、院外心停止(Out-of-Hospital Cardiac Arrest: OHCA)において、低灌流時間と良好な神経転帰との関係を調べるために、体外循環式心肺蘇生の後、1ヶ月後の生存率と良好な神経転帰との関係、記録された心リズムと低灌流時間について調べました。「CRITICAL」研究(Comprehensive Registry of intensive care for OHCA Survival)は日本の大阪、14施設の前向きコホート研究です。2012年から2016年まで、18歳以上の院外心停止に対して体外循環式心肺蘇生を実施した9822例のうち、256例を対象に、低灌流時間は現場に居合わせた人または救急隊による心肺蘇生の開始から体外循環式心肺蘇生の開始までの時間と定義、その場に居合わせた人の心肺蘇生の開始は救急隊またはその場の報告を情報としました。低灌流時間は、短期(23-45分)、中程度(46-57分)、長期(58-117分)の3つに分類しました。一次転帰は1ヶ月後の生存率、Cerevral Performance Category1-2の良好な神経転帰、二次転帰は1ヶ月後の生存率としました。結果、低灌流時間と良好な神経転帰には関係があり、病院前または病着時に記録された心リズムがショック適応リズムが続いているかどうかと関係がありました。年齢、性別、心停止の原因(心原性か非心原性か)、病院前または病着時に記録された心リズム調整後も、低灌流時間は神経転帰に関係を認めました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.ahajournals.org/doi/abs/10.1161/CIRCULATIONAHA.119.044285
低灌流時間は長いほど、ショック適応リズムが持続しているほど、予後の改善を認めました。体外循環式心肺蘇生の有効性を確認した日本からのエビデンスです。


PAGETOP