2020/4/14(火)、世界的大流行後の時代へ向けたSARS-CoV-2の流行動態の推測についてのハーバード大学の研究「Projecting the transmission dynamics of SARS-CoV-2 through the postpandemic period」の内容をまとめました。

2020/4/14(火)、世界的大流行後の時代へ向けたSARS-CoV-2の流行動態の推測についてのハーバード大学の研究「Projecting the transmission dynamics of SARS-CoV-2 through the postpandemic period」の内容をまとめました。
注意:下記は論文を和訳したのみで、私個人の意見は含めていません。
SARS-CoV-2(severe acute respiratory syndrome–coronavirus 2)の感染の将来像を理解することは急務です。風邪症状を引き起こすウイルス、H-CoV-OC43、H-CoV-HKU1の季節性、免疫、交差免疫等のアメリカの時系列データをSARS-CoV-2流行モデルに当てはめました。最初の最も重大な世界的大流行の波の後、冬期にアウトブレイクの再発が発生することを推測しています。介入を何もしなかった場合には、臨床的な治療キャパシティを超えるかどうかは、社会的距離(social distancing)をどれほど徹底するかどうかに掛かっています。社会的距離を徹底出来なかった場合、長期の間欠的な社会的距離は2022年まで必要となるでしょう。追加介入として、臨床的な治療キャパシティの拡大、効果的な治療法等が実現すれば、間欠的な距離の徹底は改善し、集団免疫(herd immunity)の獲得は早まるでしょう。血清学的検査を長期間続けていくことはSARS-CoV-2の免疫の範囲と期間を決定するために早急に必要です。一見排除出来たように見えても、SARS-CoV-2の監視(surveillance)は、感染の再興が起こりうる、最大2024年まで継続するべきだろうと論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://science.sciencemag.org/content/early/2020/04/14/science.abb5793
衝撃的な論文です。現在の外出自粛等の徹底を行ったとしても現在のアウトブレイクを抑える効果はあっても、勿論それはそれで意味のあることですが、集団免疫の獲得に必要な期間は2022年まで掛かるかも知れないというハーバード大学の予測です。短過ぎず長過ぎず、妙にリアリティを感じます。ちなみに、2022年という数字は、ワクチンも開発出来ず、治療薬も開発出来ず、前回のSARSやMERSのように社会的隔離も達成出来なかった場合の数字なので、これから変えようがあるというのが論文の趣旨です。いずれにせよ、現在のような生活がしばらく続くいう覚悟でいたほうがよさそうです。


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