2020/5/4、胸部CTにて人工知能による肺気腫の完全自動定量化と肺機能検査を比較した研究「Comparison of Artificial Intelligence-Based Fully Automatic Chest CT Emphysema Quantification to Pulmonary Function Testing」の結果をまとめました。

2020/5/4、胸部CTにて人工知能による肺気腫の完全自動定量化と肺機能検査を比較した研究「Comparison of Artificial Intelligence-Based Fully Automatic Chest CT Emphysema Quantification to Pulmonary Function Testing」の結果をまとめました。人工知能のプロトタイプアルゴリズムにて、胸部CT画像から完全自動の肺気腫の定量化と、肺機能検査、スパイロメトリー検査を比較しました。141例、女性72例、平均年齢66.5歳、男性69例、平均年齢66.7歳、過去6ヶ月以内に胸部CT撮影、スパイロメトリー検査を実施しました。スパイロメトリーによる一秒率(努力肺活量に対する最初の1秒間の努力呼気量の比:Tiffeneau指数)は肺気腫の重症度の評価の測定に用いられ、0.7未満の場合は気道閉塞を示唆します。深層畳み込み画像ネットワークを用いて、2群間差再構築法に基づいて肺のセグメンテーションを実施しました。多層畳み込みニューラルネットワークにて多変数の特徴量チューニング、深層モニタリングを行いました。教師データからネットワークの出力を識別するために、敵対的ネットワーク(adversarial network)をトレーニングにて使用しました。肺気腫は空間的フィルタリングと減衰ベースの閾値によって定量化しました。肺気腫の定量化と一秒率は、Spearmanの相関係数を用いて比較しました。結果、平均一秒率は0.57、再構築法1、2による平均肺気腫率は、9.96%、8.04%でした。人工知能による肺気腫の定量化は、一秒率と強い相関(再構築法1 ρ = -0.86 再構築法2 ρ = -0.85 both p < 0.0001)を認めました。人工知能による肺気腫の定量化は臨床的な呼吸生理学を反映していることを示唆しています。人工知能による完全自動の肺気腫の定量化は一秒率と強い相関を認め、画像ベースの肺気腫の診断と重症度の定量化に役立つ可能性があると論文ではまとめています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32130041
肺気腫の定量化において人工知能が有用であるという報告です。慢性閉塞性肺疾患において、形態学的な病理変化が肺胞の肺気腫像であり、生理学的な病理変化が閉塞性換気障害なので、同じ病態を別の視点から見ているだけなので、両者の評価が一致することは特に驚くことではありません。


PAGETOP