2020/5/12、原発性心臓悪性腫瘍の長期予後について調べた研究「Long-Term Outcomes of Primary Cardiac Malignancies: Multi-Institutional Results From the National Cancer Database」の結果をまとめました。

2020/5/12、原発性心臓悪性腫瘍(primary cardiac malignancies)に関するデータは小規模な単施設研究に限られています。多施設研究データベースから原発性心臓悪性腫瘍の転帰の詳細を収集しました。2004年から2016年、全固形原発性心臓悪性腫瘍に関する国立がんデータベースから転帰を収集しました。一次転帰は長期生存率としました。ロジスティック回帰を使用して、死亡率に関連因子を特定しました。結果、全100317例の心臓腫瘍(cardiac tumors)のうち、826例(0.8%)が原発性悪性腫瘍(primary malignant tumors)でした。除外基準の適応後、747例のコホートを設立、平均年齢53歳、女性47.5%、88.5%、最も多い腫瘍は原発性肉腫(primary sarcomas)で、40.4%は血管肉腫(hemangiosarcoma)でした。無治療136例、化学療法113例、放射線治療20例、手術442例(59.2%)を受けていました。255例は、手術と化学療法、手術と放射線治療、手術と化学放射線療法等、複数の治療を受けていました。手術のみの場合、90日死亡率は29.4%でした。全体として、30日生存率、1年生存率、5年生存率はそれぞれ、81.2%、45.3%、11.5%でした。手術群は非手術群と比べて、有意に長期生存率が改善(p<0.0001)を認めました。ステージIIIの場合は、手術に化学療法を追加した群で、統計学的に有意に生存率の改善を認めました。原発性心臓悪性腫瘍は治療手段に関わらず長期予後が不良な稀な悪性腫瘍です。ステージIIIで手術を受ける場合、術前化学療法(peri-operative chemotherapy)を受けた群のほうが受けなかった群と比べて、高い生存率を認めました。手術、薬物療法の選択においては選択バイアスの影響が無視出来ないだろうと論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32381166
心臓はがんにはならないと一般的には説明しますが、例外はあり、心臓肉腫、心臓血管肉腫という珍しい心臓の悪性腫瘍があります。どれくらい珍しいかというと循環器内科医でも一生のうちに診たことがない医師も普通にいるくらい珍しいです。もし心臓悪性腫瘍が疑われた場合には大学病院に紹介します。心臓のがんもあるという論文でした。


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