2020/4/1、急性冠症候群で経皮的冠動脈形成術介入後の脳卒中の発生率、予測因子、死亡率について調べた研究「Incidence, Predictors and Impact of Stroke on Mortality Among Patients With Acute Coronary Syndromes Following Percutaneous Coronary intervention: Results From the PROMETHEUS Registry」の結果をまとめました。

2020/4/1、急性冠症候群で経皮的冠動脈形成術介入後の脳卒中の発生率、予測因子、死亡率について調べた研究「Incidence, Predictors and Impact of Stroke on Mortality Among Patients With Acute Coronary Syndromes Following Percutaneous Coronary intervention: Results From the PROMETHEUS Registry」の結果をまとめました。急性冠症候群で経皮的冠動脈形成術を受けた例において、脳卒中は重大な合併症です。経皮的冠動脈形成術後の脳卒中の発症のデータ、死亡率への影響は十分にわかっていません。急性冠症候群で経皮的冠動脈形成術を受けた群における、脳卒中の発症率、予測因子、死亡率への影響を調べるために、急性冠症候群で経皮的冠動脈形成術を受けた19914例を対象に、多施設観察研究「PROMETHEUS」を実施しました。30日以内、1年以内の脳卒中の発症率をKaplan Meier法で計算しました。脳卒中、心筋梗塞、出血の分布、重複を比較しました。脳卒中の予測因子は多変量Cox回帰によって特定しました。脳卒中、心筋梗塞、出血と死亡率への影響を評価しました。結果、1年以内に244例(1.5%)を脳卒中発症しました。過去の脳血管疾患の既往は経皮的冠動脈形成術後の最も強力な予測因子でした。その後、ST上昇型心筋梗塞、高血圧、非ST上昇型心筋梗塞、喫煙、女性、年齢と続きました。死亡率リスクは脳卒中を起こした群は起こさなかった群と比べて、有意に高率(adjusted HR 4.84, p < .0001)でした。一方で、30日以内の発症リスク(adjusted HR 17.7; 95% CI: 12.3-25.4, p < .0001)、30日以降の発症リスク(adjusted HR 1.22; 95% CI: 0.6-2.46, p = .58)と、時間経過とともに減衰しました。急性冠症候群で経皮的冠動脈形成術後、1年以内の脳卒中の発症はそこまで珍しくはありません。心筋梗塞、出血と比較して、脳卒中は死亡率へ重大な影響を及ぼしていましたが、その影響は早期に時間とともに減衰しました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31197962
経皮的冠動脈形成術後は脳卒中にも注意との報告です。脳卒中の内訳の記載はありませんが、高血圧、喫煙、高齢、抗血小板療法による出血性脳卒中、動脈硬化性疾患の危険因子としての高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、高齢等による虚血性脳卒中、いずれもハイリスクです。脳血管疾患は心血管疾患の危険因子であり、心血管疾患は脳血管疾患の危険因子でもあるということです。冠動脈疾患がある方に頭部MRI、脳血管疾患がある方に冠動脈CTを撮るのはこのためです。


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