2020/5/26、急性心筋梗塞に対する血小板凝集阻害薬Selatogrelの効果について調べた研究「Subcutaneous Selatogrel Inhibits Platelet Aggregation in Patients With Acute Myocardial Infarction」の結果をまとめました。

2020/5/26、急性心筋梗塞に対する血小板凝集阻害薬Selatogrelの効果について調べた研究「Subcutaneous Selatogrel Inhibits Platelet Aggregation in Patients With Acute Myocardial Infarction」の結果をまとめました。急性心筋梗塞において経口P2Y12受容体拮抗薬の経口投与は、血小板阻害作用の発現には時間が掛かります。「selatogrel」は高選択性、可逆性のP2Y12受容体拮抗薬で、効果発現が早く、短時間作動であることが期待されています。急性心筋梗塞において、selatogrelの単回皮下投与後の血小板凝集の阻害作用を評価しました。急性心筋梗塞でselatogrel 8mg群、16mg群と無作為に割り振りました。一次転帰は投与後30分後の治療反応、VerifyNow法によって測定されたP2Y12反応100単位未満としました。安全性は投与後48時間まで評価しました。結果、47例、selatogrel 8mg群24例、16mg群23例、チカグレロル43例、クロピドグレル1例でした。投与30分後の反応率は、8mg群91%(one-sided 97.5% confidence interval [CI]: 80% to 100%)、16mg群96%(97.5% CI: 87% to 100%)で、有意差(p values for responders >85% target; p = 0.142 and p = 0.009, respectively)を認めました。反応率は急性心筋梗塞のタイプ、年齢、性別に寄りませんでした。同様の反応率は15分後(8 mg: 75% [97.5% CI: 58% to 100%]; 16 mg: 91% [97.5% CI: 80% to 100%])にも認め、投与後60分後(8 mg: 75% [97.5% CI: 58% to 100%]; 16 mg: 96% [97.5% CI: 87% to 100%])まで持続しました。15分後時点におけるP2Y12反応単位は、8mg群51(range: 4 to 208)、16mg群9(range: 2 to 175)でした。selatogrelの容認性は良好で、大出血合併症は認めませんでした。急性心筋梗塞におけるselatogrelの単回皮下投与は、安全で、迅速に投与量関連に、抗血小板反応を認めました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32439008
抗血小板薬「selatogrel」の第2相試験の論文です。急性心筋梗塞の際には少しでも早く抗血小板作用を発現したいので、即効性は重要です。第3相試験はこれからで、分かり次第まとめます。
去年の年末くらいから自分の英語の勉強の意味も含めて始めた論文の和訳ですが、気付いたらお茶の水循環器内科ホームページの投稿数が2000記事を超えていたようです。休診等のお知らせも含むので必ずしも全部医学系の記事ではありませんが、謎の達成感があります。ちなみに、SEOの視点からもプラスになればという淡い期待もあったのですが、あまり最後まで読まれない記事をたくさん投稿することは今はSEOとしてはマイナス要因だそうです。今後とも気にしないで行きます。


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