2020/7/1、心筋梗塞後の禁煙と生存率との関係を調べた研究「Association of Smoking Cessation and Survival Among Young Adults With Myocardial Infarction in the Partners YOUNG-MI Registry」の結果をまとめました。

2020/7/1、心筋梗塞後の禁煙と生存率との関係を調べた研究「Association of Smoking Cessation and Survival Among Young Adults With Myocardial Infarction in the Partners YOUNG-MI Registry」の結果をまとめました。一次予防の顕著な進歩にも関わらず、心筋梗塞は若年成人において増加し続けています。心筋梗塞を経験した成人のコホートで、現在の喫煙状況、喫煙、禁煙と生存率との関係を明らかにするために、「The Partners YOUNG-MI registry」は、マサチューセッツ州ボストンの2つの大規模学術施設にて、心筋梗塞を50歳以下で発症した例の後ろ向きコホート研究です。喫煙状況は心筋梗塞の発症時、心筋梗塞から1年後、電子カルテ記録から収集しました。2000年から2016年まで、50歳以下の心筋梗塞は2072例ありました。2019年までデータ解析を実施しました。死亡データは「Social Security Administration Death Master File」「Massachusetts Department of Vital Statistics」「National Death Index」から収集しました。死亡原因は独立した2名の循環器内科医によって評価しました。傾向スコア調整後Cox比例ハザードモデルにて、禁煙と全死亡、心血管死との関連を評価しました。結果、2072例、平均年齢45歳、男性1669例(80.6%)、1088例(52.5%)が入院時に喫煙者でした。そのうち、910例はその後、心筋梗塞後1年の時点で、343例(37.7%)が禁煙、567例(62.3%)が喫煙を続けていました。中央値11.2年の追跡の結果、禁煙群は全死亡(HR 0.35; 95% CI, 0.19-0.63; P < .001)、心血管死(HR, 0.29; 95% CI, 0.11-0.79; P = .02)とも、有意に減少を認めました。傾向スコア調整後も有意差(HR, 0.30 [95% CI, 0.16-0.56; P < 0.001] for all-cause mortality and 0.19 [95% CI, 0.06-0.56; P = 0.003] for cardiovascular mortality)は一貫していました。コホート研究の結果、50歳以下で心筋梗塞を発症した例の約半数が喫煙者でした。そのうち、心筋梗塞1年後の時点で禁煙をしていることは全死亡、心血管死50%以上の減少と関連を認めました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32639567
心筋梗塞後に禁煙するかしないかと心筋梗塞の再発率、死亡率の関係の報告です。心筋梗塞後に禁煙をした群で、全死亡70%、心血管死81%減少を認めました。逆に言うと、心筋梗塞後に禁煙をしないと死亡率70、心筋梗塞の再発率81%増加するとも言えます。心筋梗塞再発率8割増加をカバー出来る再発予防策はないので、心筋梗塞後に禁煙をしない方はやはりどこかで心筋梗塞再発をしてしまいます。


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