2020/6/30、2型糖尿病に対する血糖降下薬の効果を比較した系統レビュー、メタ解析「Comparative Effectiveness of Glucose-Lowering Drugs for Type 2 Diabetes: A Systematic Review and Network Meta-analysis」の結果をまとめました。

2020/6/30、2型糖尿病に対する血糖降下薬の効果を比較した系統レビュー、メタ解析「Comparative Effectiveness of Glucose-Lowering Drugs for Type 2 Diabetes: A Systematic Review and Network Meta-analysis」の結果をまとめました。2型糖尿病の治療薬の選択肢としては複数あります。成人の2型糖尿病において、血糖効果薬のベネフィットとハームを比較しました。2019/12/18までのいくつかのデータベース、2020/4/10までの「ClinicalTrials.gov」からデータを収集しました。英文、無作為化試験、少なくとも24週間以上、血糖降下薬の効果、死亡率、血糖転帰、血管転帰を評価している試験を選択しました。ペアレビュー、バイアスリスクを評価しました。453試験、21種類の抗糖尿病薬介入、9種類の薬剤クラスのデータを収集しました。介入群は、単剤134試験、メトホルミン治療への追加296試験、単剤治療とメトホルミン治療への追加との比較23試験でした。心血管リスクが低く、最初の治療薬としては治療薬間に差を認めませんでした。インスリン治療レジメン、メトホルミン治療にGLP-1受容体作動薬(glucagon-like peptide-1 receptor agonists: GLP-1 RAs)を上乗せした治療は、HbA1c値の顕著な低下を認めました。心血管リスクが低く、メトホルミン治療を受けている場合298試験では、死亡率、血管転帰において臨床的に有意な差を認めませんでした。心血管リスクが高く、メトホルミン治療を受けている場合21試験では、経口セマグルチド、エンパグリフロジン、リラグルチド、エキセナチド、ダパグリフロジンは全死亡を低下させました。経口セマグルチド、エンパグリフロジン、リラグルチドは心血管死も減少させました。脳卒中のオッズ比は皮下セマグルチド、デュラグルチドで低下を認めました。SGLT2阻害薬(Sodium-glucose cotransporter-2 inhibitors)は、心不全入院、末期腎疾患を減少させました。皮下セマグルチドで糖尿病性網膜症、カナグリフロジンで下肢切断がそれぞれ増加しました。心血管リスクの定義が一貫していないこと、心血管リスクが低い例に対して低い信頼性があることに限界があります。糖尿病で心血管リスクが低い例では、血管転帰において治療による差は認められませんでした。心血管リスクが高い例では、メトホルミン治療に上乗せとして、GLP-1受容体作動薬、、SGLT2阻害薬は心血管転帰に対して良好な効果を認めました。詳しくは論文を認めました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32598218
血糖降下薬の系統レビュー、メタ解析です。血糖降下薬で大きな差は認めなかったとのことですが、心血管リスクが高い例では、メトホルミン治療に上乗せとして、経口セマグルチド、エンパグリフロジン、ダパグリフロジン、リラグルチド、エキセナチド、皮下セマグルチド、デュラグルチドが良い傾向にあったとの結果です。SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬の連勝が続きますね。経口セマグルチドの登場も待ち遠しい限りです。


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