2020/8/18、冠動脈石灰化スコア分類の冠動脈疾患、脳卒中の予測能について調べた研究「Predictive Value of Coronary Artery Calcium Score Categories for Coronary Events Versus Strokes: Impact of Sex and Race: MESA and DHS」の要旨をまとめました。冠動脈石灰化(Coronary artery calcium: CAC)は動脈硬化性心血管疾患(atherosclerotic cardiovascular disease: ASCVD)、冠動脈心疾患(coronary heart disease: CHD)、脳卒中の包括的なイベントの予測因子、一次予防のための意思決定の参考になります。無症状集団における、性別、人種を超えて、冠動脈心疾患、脳卒中、それぞれに対する冠動脈石灰化カテゴリーの予測能は十分にわかっていませんでした。白人、黒人、ヒスパニック、「MESA」(Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis)、「DHS」(Dallas Heart Study)で、登録時に冠動脈石灰化の測定、動脈硬化性心血管疾患イベントを追跡しました。冠動脈石灰化カテゴリー0、1以上99以下、100以上と、冠動脈心疾患、脳卒中の10年発生率を評価しました。冠動脈石灰化と冠動脈石灰化、脳卒中イベントの発生の関係を、多変量調整Coxモデル、乗法的相関関係を用いて、冠動脈石灰化、性別、人種を解析しました。結果、7042例、平均年齢57歳、女性54%、黒人36%、ヒスパニック23%、冠動脈石灰化スコア0点49%、冠動脈石灰化スコア100点以上19%、12.3年の追跡期間中、動脈硬化性心血管疾患は574例発生、冠動脈心疾患333例、脳卒中241例が観察されました。冠動脈心疾患、脳卒中の10年発生率は冠動脈石灰化カテゴリー、男性、女性、白人、黒人、ヒスパニック(all P<0.001)、全て有意に上昇しました。冠動脈石灰化スコア100以上は、全てのグループにおいて動脈硬化性心血管疾患、冠動脈心疾患リスクと、全体コホート、黒人の脳卒中リスクの独立した関連因子でした。冠動脈石灰化と動脈硬化性心血管疾患、冠動脈心疾患、脳卒中イベントとの関係は、性別、人種による違いはありませんでした。既存のリスク因子モデルに冠動脈石灰化スコアを追加したところ、冠動脈心疾患の識別、再分類を改善しましたが、脳卒中イベントはそうではありませんでした。2つの無症状例の集団コホート研究において、冠動脈心疾患、脳卒中の10年発生率は、性別、人種によらず、冠動脈石灰化スコアカテゴリー上昇するにつれて高くなりました。冠動脈石灰化は脳卒中よりも冠動脈心疾患の予測因子として優れていました。冠動脈石灰化スコアは性別、人種を超えて動脈硬化性心血管疾患と関連を認めました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32806939
冠動脈石灰化スコアの心血管疾患予測能は性別、人種に寄らなかったという報告です。
2020/8/18、冠動脈石灰化スコア分類の冠動脈疾患、脳卒中の予測能について調べた研究「Predictive Value of Coronary Artery Calcium Score Categories for Coronary Events Versus Strokes: Impact of Sex and Race: MESA and DHS」の要旨をまとめました。