2020/8/18、急性冠症候群の冠動脈プラークに対してストロングスタチンに加えて脂肪酸療法の上乗せ効果について調べた研究「Effects of Fatty Acid Therapy in Addition to Strong Statin on Coronary Plaques in Acute Coronary Syndrome: An Optical Coherence Tomography Study」の要旨をまとめました。血管修復反応(Vascular healing response)と、ストロングスタチン治療を受けている例に対してn-3多価不飽和脂肪酸の追加投与の関連は十分にわかっていませんでした。光干渉断層撮影による冠動脈動脈硬化性プラークに対して、ストロングスタチン治療に加えて、エイコサペンタエン酸(eicosapentaenoic acid: EPA)、ドコサヘキサエン酸(docosahexaenoic acid: DHA)等による多価不飽和脂肪酸治療の効果を調べるために、急性冠症候群でストロングスタチン治療を受けている130例を対象に、前向き多施設無作為化対照試験を実施しました。対照群としてスタチン単独群43例、スタチンと高用量EPA 1日1800mg投与する群40例、スタチンとEPA 1日930mg、DHA 1日750mg投与する群48例に分けました。光干渉断層撮影をベースライン、追跡8ヶ月後に評価しました。光干渉断層撮影のターゲットは非責任病変の脂質プラークとしました。ベースラインと追跡8ヶ月後で、線維性被膜圧(fibrous cap thickness: FCT)は3群全てにおいて有意に増加しました。線維性被膜圧の変化率は、EPA群、EPA+DHA群、対照群で有意な差を認めませんでした。線維性被膜圧が中央値である120μm未満において、線維性被膜圧の変化率はEPA群、EPA+DHA群で、対照群と比べて有意に高値を認めました。ストロングスタチン治療にEPA、EPA+DHAを追加することは、ストロングスタチン単独と比べて、非責任プラークの線維性被膜圧を有意に増加させませんでしたが、線維性被膜圧が薄い群においては線維性被膜圧を有意に増加させました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32805184
EPA、DHA等の多価不飽和脂肪酸をストロングスタチンに上乗せすることはそこまで劇的な効果はないという結果です。プラークの線維性被膜は一般に厚いほうが安定化プラーク、薄いほうが不安定プラークであると考えられています。実臨床としては、ストロングスタチンを優先し、それでも脂質プロファイルの改善が十分でなければEPA、DHAを追加しても良いというところでしょうか。詳しくは主治医とご相談ください。
2020/8/18、急性冠症候群の冠動脈プラークに対してストロングスタチンに加えて脂肪酸療法の上乗せ効果について調べた研究「Effects of Fatty Acid Therapy in Addition to Strong Statin on Coronary Plaques in Acute Coronary Syndrome: An Optical Coherence Tomography Study」の要旨をまとめました。