2020/8/23-9/24、オンラインで開催された「STROKE 2020」(第45回日本脳卒中学会学術集会、第49回日本脳卒中の外科学会学術集会、第36回スパズム・シンポジウム)にて心房細動に対する抗血栓療法の有効性と安全性について調べた研究「RAFFINE」の結果が発表されました。



2020/8/23-9/24、オンラインで開催された「STROKE 2020」(第45回日本脳卒中学会学術集会、第49回日本脳卒中の外科学会学術集会、第36回スパズム・シンポジウム)にて心房細動に対する抗血栓療法の有効性と安全性について調べた研究「RAFFINE」の結果が発表されました。脳梗塞後、虚血性心疾患等に対して抗血小板薬が必要で、かつ心房細動を認める場合の抗血栓療法は出血リスクを考える必要があります。「RAFFINE」研究は、2012年から2018年まで、順天堂大学、関連病院にて心房細動の登録研究で、アピキサバン、エドキサバン、リバーロキサバン、ダビガトラン、4剤の経口抗凝固薬と抗血小板薬の併用について解析しました。心房細動3901例のうち非弁膜症性心房細動3222例、抗凝固薬単独77%、抗血小板薬併用23%、抗血小板薬併用群は抗凝固薬単独群と比べて、年齢、男性、糖尿病、脂質異常症、心不全、慢性腎臓病、透析導入、脳梗塞の既往、虚血性心疾患の既往の率が有意に関連していました。抗血小板薬併用群は、抗凝固薬単独群と比べて、脳梗塞、全身性塞栓症、大出血、全死亡、頭蓋内出血が有意な増加を認めました。心筋梗塞、消化管出血は両群間で差は認めませんでした。抗血小板薬併用群は抗凝固薬単独群と比べて、頭蓋内出血、出血性脳卒中、脳出血は有意に増加、全ての脳卒中のリスクが有意に増加を認めました。抗血小板薬併用群のうち、直接経口抗凝固薬群とワルファリン群で比較したところ、全死亡、脳梗塞、全身性塞栓症、心筋梗塞、消化管出血は両群間で差は認めませんでしたが、大出血、頭蓋内出血に関しては統計学的に有意ではないものの直接経口抗凝固薬群において発生率が低い傾向でした。メディカルトリビューンで記事になっていました。
https://medical-tribune.co.jp/news/2020/0928531804
過去の報告と一貫して、抗凝固薬と抗血小板薬の併用で出血リスクが増加、特に直接経口抗凝固薬よりもワルファリンのほうが出血リスクが高いという報告です。今回の結果から言えることは、抗凝固薬に抗血小板薬を併用しても心筋梗塞の減少が認められなかったことと、抗凝固薬と抗血小板薬の併用で脳出血だけではなく全ての型の脳卒中が増加してしまっていることを考えると、抗凝固薬に抗血小板薬を併用するメリットは明らかではなく、デメリットのほうが大きいと言えます。詳しくは主治医とご相談ください。


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