2020/9/24、慢性腎臓病に対するダパグリフロジンの有効性を調べた研究「Dapagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease: DAPA-CKD Trial」の要旨をまとめました。

2020/9/24、慢性腎臓病に対するダパグリフロジンの有効性を調べた研究「Dapagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease: DAPA-CKD Trial」の要旨をまとめました。慢性腎臓病は有害腎転帰、心血管転帰のハイリスクです。ダパグリフロジンの慢性腎臓病への有効性、2型糖尿病の有無に関わらず、十分にわかっていませんでした。推算糸球体濾過量25-75で、尿中アルブミンクレアチニン比200-5000の4304例を対象に、ダパグリフロジン10mg1日1回とプラセボに無作為に割り振りました。主要評価項目は推算糸球体濾過量50%以上の低下、末期腎臓病、腎臓または心血管死亡の複合としました。独立データモニタリング委員会は有効性が明らかになったため試験中止を勧告しました。中央値2.4年間において、主要評価項目はダパグリフロジン群2153例中197例(9.2%)、プラセボ群2152例中312例(14.5%)発生、有意差(hazard ratio, 0.61; 95% confidence interval [CI], 0.51 to 0.72; P<0.001)を認め、主要評価項目イベント予防のための治療必要数(number needed to treat)は19(95% CI, 15 to 27])でした。推算糸球体濾過量50%以上の低下、末期腎臓病、腎臓または心血管死亡の複合のハザード比0.56(95% CI, 0.45 to 0.68; P<0.001)、心血管死亡、心不全入院の複合のハザード比0.71 (95% CI, 0.55 to 0.92; P=0.009)で、いずれも有意差を認めました。死亡はダパグリフロジン群101例(4.7%)、プラセボ群146例(6.8%)発生、有意差(hazard ratio, 0.69; 95% CI, 0.53 to 0.88; P=0.004)を認めました。ダパグリフロジンの効果は、2型糖尿病ありの参加者、2型糖尿病なしの参加者、いずれも同様でした。安全性プロファイルは既に確認済みのものでした。慢性腎臓病において、糖尿病の有無に関わらず、ダパグリフロジンはプラセボと比べて、推算糸球体濾過量50%以上の低下、末期腎臓病、腎臓または心血管死亡の複合を有意に抑制しました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2024816
SGLT2阻害薬のダパグリフロジンは、糖尿病の有無に関わらず、慢性腎臓病に対して、腎機能の悪化、末期腎臓病への進行、心血管死亡を39%有意に抑制しました。有効性が明らかになったため早期に試験終了となりました。糖尿病の有無に関わらないという点もポイントです。ダパグリフロジン(フォシーガ)は今後、慢性腎臓病治療薬としての位置付けを獲得して行くでしょう。詳しくは主治医までご相談ください。


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