2020/9/21、睡眠時間と認知機能の低下との関係について調べた研究「Association Between Sleep Duration and Cognitive Decline」の要旨をまとめました。

2020/9/21、睡眠時間と認知機能の低下との関係について調べた研究「Association Between Sleep Duration and Cognitive Decline」の要旨をまとめました。睡眠時間と認知機能低下の変化との関係は十分にわかっていませんでした。睡眠時間と認知機能低下との関係を明らかにするために、2つの全国代表加齢コホートのプール解析を実施しました。イギリス、「English Longitudinal Study of Ageing」、2008年から2009年、2016年から2017年、第4次から第8次、蓄積コホート研究のデータを用いて、中国、「China Health and Retirement Longitudinal Study」、2011年から2015年、第1次から第3次、2つの集団を解析しました。イギリス、50歳以上、中国、45歳以上、28756例を無作為に登録、対面問診に基づいた1晩あたりの自己申告睡眠時間、遅延想起テスト、動物名想起テスト、連続7引き算テスト、五角形模写テスト、日付見当識テスト等に基づいて全般性認知機能のzスコアを算出しました。結果、20065例、イギリス「English Longitudinal Study of Ageing」から9254例、平均年齢64.6歳、女性5174例(55.9%)、追跡中央値8年間、中国「China Health and Retirement Longitudinal Study」から10811例、平均年齢57.8歳、男性5425例(50.2%)、追跡中央値4年間でした。100000人年の追跡あたり、交絡因子調整後、全般性認知機能zスコアは、1日7時間を対照群とした場合、睡眠時間4時間以下(pooled β = −0.022; 95% CI, −0.035 to −0.009 SD per year; P = .001)、10時間以上(pooled β = −0.033; 95% CI, −0.054 to −0.011 SD per year; P = .003)で、低下を認めました。睡眠時間と全般性認知機能低下の逆U字が認められました。本蓄積研究から、睡眠時間と全般性認知機能低下との間には逆U字関係を認めました。4時間以下の不十分(insufficient)な睡眠時間、10時間以上の過剰(excessive)な睡眠時間の個人に対しては、認知機能をモニタリングする必要性を示しています。睡眠時間と認知機能低下との関係のメカニズムの解析するためにはさらなる研究が必要です。詳しくは論文をご覧ください。
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2770743
4時間以下、10時間以上、睡眠不足も寝過ぎもいずれも良くないという報告です。日経メディカルでも記事になっていました。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/jama/202010/567435.html


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