2020/10/23、2型糖尿病の慢性腎臓病に対するFinerenoneの有効性について調べた研究「Effect of Finerenone on Chronic Kidney Disease Outcomes in Type 2 Diabetes: FIDELIO-DKD」の要旨をまとめました。「Finerenone」は非ステロイド性選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(nonsteroidal selective mineralocorticoid receptor antagonist)で、2型糖尿病、慢性腎臓病を対象とした短期試験で、アルブミン尿を減少させました。しかし、腎臓に対する長期の影響、心血管転帰に対する影響は十分にわかっていませんでした。二重盲検試験にて、2型糖尿病、慢性腎臓病5734例を対象に、finerenone、プラセボに無作為に割り振りました。組み込み基準は、尿中アルブミンクレアチニン比30以上300未満、推算糸球体濾過量25以上60未満、糖尿病性網膜症、尿中アルブミンクレアチニン比300から5000、推算糸球体濾過量45から74未満としました。全例、レニンアンジオテンシン系阻害薬治療を受けており、無作為化前に、容認不可能な副作用の原因がない限り最大耐量に調整しました。主要複合評価項目は、時間事象解析評価による腎不全、ベースラインからの推算糸球体濾過量40%以上の低下、腎臓を原因とする死亡としました。副次複合評価項目は時間事象解析にて、心血管死亡、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、心不全入院としました。中央地2.6年間の追跡期間中、主要評価項目事象はfinerenone群2833例中504例(17.8%)、プラセボ群2841例中600例(21.1%)、有意差(hazard ratio, 0.82; 95% confidence interval [CI], 0.73 to 0.93; P=0.001)を認めました。副次評価項目事象はfinerenone群367例(13.0%)、プラセボ群420例(14.8%)、有意差(hazard ratio, 0.86; 95% CI, 0.75 to 0.99; P=0.03)を認めました。全体として、有害事象の頻度は両群間で同様でした。高カリウム血症関連の試験レジメン中断の発生率は、finerenone群でプラセボ群と比べて高率(2.3% and 0.9%)でした。2型糖尿病、慢性腎臓病、finerenone治療はプラセボと比べて、慢性腎臓病進行、心血管事象リスク減少させました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2025845
非ステロイド性鉱質コルチコイド受容体拮抗薬「finerenone」の第III相試験「FIDELIO-DKD」の結果です。既存のレニンアンジオテンシン系阻害薬への上乗せで、finerenoneは慢性腎臓病進行、心血管イベント減少を認めました。糖尿病性腎臓病(Diabetic Kidney Diseases: DKD)の治療薬として承認が期待されます。
2020/10/23、2型糖尿病の慢性腎臓病に対するFinerenoneの有効性について調べた研究「Effect of Finerenone on Chronic Kidney Disease Outcomes in Type 2 Diabetes: FIDELIO-DKD」の要旨をまとめました。