2020/11/10、急性心筋梗塞後、骨髄由来単核細胞の冠動脈内投与の有効性について調べた研究「The effect of intracoronary infusion of bone marrow-derived mononuclear cells on all-cause mortality in acute myocardial infarction: the BAMI trial 」の要旨をまとめました。

2020/11/10、急性心筋梗塞後、骨髄由来単核細胞の冠動脈内投与の有効性について調べた研究「The effect of intracoronary infusion of bone marrow-derived mononuclear cells on all-cause mortality in acute myocardial infarction: the BAMI trial 」の要旨をまとめました。骨髄由来単核細胞(Bone marrow-derived mononuclear cell: BM-MNC)治療は急性心筋梗塞後、心筋の回復を改善する可能性がありますが、試験結果は一貫していません。独自オープンラベル多施設第III相試験、「BAMI」試験は、ST上昇型急性心筋梗塞、一次経皮的冠動脈形成術後、左室駆出率45%以下に低下、骨髄由来単核細胞の冠動脈内注入の安全性、有効性を調べるために、全死亡までの時間を評価しました。登録人数が予想外に少なかったことは、仮説検証試験としてはもはや値しないかも知れませんが、統計解析から決定的結論の可能性はないものの、観察研究を実施しました。全375例が登録、治療群185例、対照群190例に無作為に割り振り、治療群では経皮的冠動脈形成術後、2-8日に骨髄由来単核細胞の冠動脈内注入、対照群は至適薬物療法を実施しました。2年間の全死亡率は骨髄由来単核細胞群3.26%(6 deaths; 95% confidence interval (CI): 1.48–7.12%)、対照群3.82%(7 deaths; 95% CI: 1.84–7.84%)でした。2年間の追跡期間中、心不全入院は骨髄由来単核細胞群5例(2.7%, 95% CI: 1.0–5.9%)、対照群15例(8.1%, CI : 4.7–12.5%)でした。有害事象、重大有害事象は2群間で差を認めませんでした。対照群、脳卒中の発生はありませんでしたが、骨髄由来単核細胞群、脳卒中4例(2.2%)でした。急性心筋梗塞後の自家細胞治療の大規模試験「BAMI」試験、予想に反して登録少数、事象発生率が低いため、観察結果の介入群と対照群の比較で、有意な比較には至りませんでした。詳しくは論文をご覧ください。
https://academic.oup.com/eurheartj/article/41/38/3702/5898841
冠動脈内への骨髄由来細胞の投与の有効性、安全性を調べた第III相試験です。結果は有意差には至らなかったとのことです。心臓の再生医療の臨床試験はまだまだ開発中です。


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