2019/9/12、標準12誘導心電図から人工知能にて年齢と性別を推測する研究「Age and Sex Estimation Using Artificial Intelligence From Standard 12-Lead ECGs」の要旨をまとめました。

2019/9/12、標準12誘導心電図から人工知能にて年齢と性別を推測する研究「Age and Sex Estimation Using Artificial Intelligence From Standard 12-Lead ECGs」の要旨をまとめました。性別、年齢は心電図に影響を及ぼすことが以前から知られています。いくつかの生理学的因子、解剖学的因子が性別、年齢と関連して、心電図の差に関連している可能性があります。畳み込みニューラルネットワーク(convolutional neural network: CNN)にて、機械学習の訓練、12誘導心電図の信号のみを用いて、年齢、性別を予測することが出来ないか仮説を立てました。畳み込みニューラルネットワークの予測した年齢、実年齢との間の不一致が重度の場合には、健康の生理学的指標になるのではないかと仮説を立てました。499728例、12誘導心電図信号10分間のサンプルを使用、性別、年齢を予測する畳み込みニューラルネットワークを訓練しました。別のコホート275056例にてネットワークを検証しました。続いて、各年代ごとに無作為に選択した100例、畳み込みニューラルネットワークによる年齢の推測の正確性を評価しました。結果、275056例検証、平均年齢58.6歳でした。性別の分類において、モデルは90.4%の分類の正確性、独立検証データの曲線下面積0.97でした。年齢の推測はばらつきがあり、平均誤差は6.9歳(R-squared =0.7)でした。各年代ごとの複数の心電図100例においては、51%は実際の年齢と畳み込みニューラルネットワーク予測の年齢との平均誤差は7年未満でした。畳み込みニューラルネットワーク予測年齢と実年齢が7歳以上高い場合の主要因子としては、左室駆出率低下、高血圧、冠動脈疾患(P<0.01)を認めました。畳み込みニューラルネットワーク予測と実年齢の間の相関関係0.8超の27%においては、33年間の追跡期間中、特記すべき事象を認めませんでした。人工知能を心電図に適応したところ、性別と年齢の推測につながりました。生物学的年齢の予測の人工知能アルゴリズムの能力は、差が大きい場合には健康状態の指標として参考になる可能性があります。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31450977
心電図から年齢と性別を予測するという論文ですが、この論文の興味深いところは、ただ予測するだけではなく、人工知能の予測年齢と実際の年齢と乖離を認めた場合、関連因子として心不全、高血圧、冠動脈疾患が有意な関連因子として認めたとのことで、人工知能の正確性だけではなく、ズレがあった場合に逆に対象側の健康状態の指標として使えるのではないかと一歩踏み込んだところまで考察しているところが興味深いです。また面白い論文を見付けましたらお知らせします。


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