2020/10/19、小冠動脈疾患に対して、薬剤コーテッドバルーンと薬剤溶出性ステントの長期の有効性と安全性について調べた研究「Long-term efficacy and safety of drug-coated balloons versus drug-eluting stents for small coronary artery disease (BASKET-SMALL 2): 3-year follow-up of a randomised, non-inferiority trial」の要旨をまとめました。

2020/10/19、小冠動脈疾患に対して、薬剤コーテッドバルーンと薬剤溶出性ステントの長期の有効性と安全性について調べた研究「Long-term efficacy and safety of drug-coated balloons versus drug-eluting stents for small coronary artery disease (BASKET-SMALL 2): 3-year follow-up of a randomised, non-inferiority trial」の要旨をまとめました。新規の冠動脈小血管疾患の治療として、薬剤コーテッドバルーン(drug-coated balloons: DCBs)は薬剤溶出性ステントと比べて12ヶ月の臨床転帰に関して非劣性ではありますが、1年を超えるデータは不足しています。経皮的冠動脈形成術と比べて、臨床評価項目に関して、薬剤コーテッドバルーンの長期の有効性、安全性を評価するために、ドイツ、スウェーデン、オーストリア、14臨床施設、経皮的冠動脈形成術の適応のある3mm未満の冠動脈の新規病変を対象に、薬剤コーテッドバルーンと第2世代薬剤溶出性ステントを比較、3年以上追跡、心臓死亡、非致死性心筋梗塞、標的血管血行再建等の主要有害心臓事象、全死亡、疑いまたは確定のステント血栓症、出血学術研究コンソーシアム出血型3-5の大出血、長期追跡、多施設、無作為化、オープンラベル、非劣性試験を実施しました。解析は中世意図治療原則に基づいてフル解析セットを実施しました。抗血小板薬2剤併用療法は安定症状においては薬剤コーテッドバルーン後1ヶ月、薬剤溶出性ステント後6ヶ月推奨されていますが、急性冠症候群では12ヶ月推奨されています。結果、2012年から2017年まで、883例参加、薬剤コーテッドバルーン群382例、薬剤溶出性ステント群376例、無作為に割り振りました。主要有害心臓事象の発生率のカプランマイヤー推定は、薬剤コーテッドバルーン、薬剤溶出性ステント、いずれも15%(hazard ratio [HR] 0·99, 95% CI 0·68-1·45; p=0·95)でした。有害心臓事象の個々の内訳に関しても2群間で同様で、心臓死亡(Kaplan-Meier estimate 5% vs 4%, HR 1·29, 95% CI 0·63-2·66; p=0·49)、非致死性心筋梗塞(both Kaplan-Meier estimate 6%, HR 0·82, 95% CI 0·45-1·51; p=0·52)、標的血管血行再建(both Kaplan-Meier estimate 9%, HR 0·95, 95% CI 0·58-1·56; p=0·83)でした。全死亡率は薬剤コーテッドバルーン群、薬剤溶出性ステント群で同等(both Kaplan-Meier estimate 8%, HR 1·05, 95% CI 0·62-1·77; p=0·87)でした。ステント血栓症疑いまたは確定の発生率(Kaplan-Meier estimate 1% vs 2%; HR 0·33, 95% CI 0·07-1·64; p=0·18)、大出血(Kaplan-Meier estimate 2% vs 4%, HR 0·43, 95% CI 0·17-1·13; p=0·088)は、薬剤コーテッドバルーンは薬剤溶出性ステントと比べて、数値的には低値でしたが、有意差には至りませんでした。新規の冠小血管疾患の治療として、薬剤コーテッドバルーンと薬剤溶出性ステントの有効性、安全性は3年間の追跡で維持されていました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33091360
3mm未満の冠動脈病変に対して、薬剤溶出性ステント、薬剤コーテッドバルーンという治療の選択肢の有効性、安全性の3年追跡結果です。

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