2020/12/3、新規発症の2型糖尿病に対して3剤併用療法と段階的追加療法と比較した研究「Durability of Triple Combination Therapy Versus Stepwise Addition Therapy in Patients With New-Onset T2DM: 3-Year Follow-up of EDICT」の要旨をまとめました。


2020/12/3、新規発症の2型糖尿病に対して3剤併用療法と段階的追加療法と比較した研究「Durability of Triple Combination Therapy Versus Stepwise Addition Therapy in Patients With New-Onset T2DM: 3-Year Follow-up of EDICT」の要旨をまとめました。新規発症の2型糖尿病に対して、メトホルミン、ピオグリタゾン、GLP-1受容体刺激薬エキセナチドを初期治療として開始する場合と、メトホルミン開始後、SU薬グリピジド、インスリンを段階的に追加する場合と、長期の有効性を比較するために、新規発症の2型糖尿病、薬物療法開始前318例を対象に、HbA1c 6.5未満を目標に、メトホルミン、ピオグリタゾン、エキセナチドの3剤併用療法群、メトホルミン開始後にグリピジド、インスリンを段階的に追加する従来治療群、無作為に割り振りました。インスリン感受性、β細胞機能を開始時、3年後に測定しました。主要評価項目は3年後の両群間のHbA1c値の差としました。結果、開始時のHbA1c値は3剤併用療法群9.0、従来治療群8.9でした。3剤併用療法群のHbA1c値の減少は従来治療群と比べて、6ヶ月後時点で有意差あり(0.30% [95% CI 0.21–0.39]; P = 0.001)、3剤併用療法群のHbA1c値の減少は従来治療群と比べて、その後、抗高血糖薬の強化にも関わらず、3年後(6.4% ± 0.1% and 6.9% ± 0.1%, respectively)も維持されていました。3年後の2治療群間のHbA1c値の差は0.50%(95% CI 0.39–0.61; P < 0.0001)でした。3剤併用療法はインスリン感受性の増加、β細胞機能の閾値30改善を認めました。従来治療群において、インスリン感受性は変化なし、β細胞機能の改善は34%のみで、いずれも有意差(both P < 0.0001 vs. triple therapy)を認めました。新規発症の2型糖尿病において、3剤併用療法は、代謝異常を改善することで、低血糖値を悪化させることなく、インスリン感受性、β細胞機能を改善し、HbA1c値減少を認めました。詳しくは論文をご覧ください。
https://care.diabetesjournals.org/content/early/2020/11/29/dc20-0978
2型糖尿病の初期治療として、メトホルミンを開始、その後の血糖を見ながら薬剤を追加していくスタイルと、最初からメトホルミン、GLP-1受容体刺激薬、ピオグリタゾンの3剤を開始するスタイルと、どちらが良いか比較した結果、最初から3剤併用のほうが血糖コントロールが良く、膵β細胞機能にとっても良かったとの報告です。高血糖状態が長期間続いてしまうよりも、一度血糖を正常化し、高血糖状態を解除してしまったほうが長期的に見ても良いとのことでしょう。お茶の水循環器内科の方針としては治療方針は相談しながら決めていくスタイルですが、早期からメトホルミン、SGLT2阻害剤、DPP4阻害薬、GLP-1受容体刺激薬、持効型インスリンを導入、血糖の正常化を実現、結果的に糖尿病合併症を防ぎ、膵β細胞機能を温存することにつながると考えています。一番良くないのは漫然と高血糖状態が続いてしまって、糖尿病合併症の進行を防げていない状態だと考えています。詳しくは主治医とご相談ください。日経メディカルでも記事になっていました。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/diabet/202012/568482.html

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