LDLコレステロール値と冠動脈イベント発症率の関係をまとめました。LDLコレステロールは悪玉コレステロールとも言われ、動脈硬化の直接の危険因子です。LDLコレステロール値と冠動脈イベントの発症率について、2004年の「Journal of the American College of Cardiology」にまとめた図が有名です。
図から、LDLコレステロール値と冠動脈イベント発症率はほぼ直線的に比例関係にあることがわかります。冠動脈イベントとは心筋梗塞と狭心症と合わせた呼び方でいずれも発症すると命に関わります。一次予防とは心筋梗塞を起こしていない状態で心筋梗塞を予防すること、二次予防とは一度心筋梗塞を起こした方が心筋梗塞の再発をしないように予防することで、一度心筋梗塞を起こした場合は同じLDLコレステロールの値であっても再度心筋梗塞を起こすリスクが高いことがわかります。図からわかることは、一次予防、二次予防を問わず、LDLコレステロールの値が高ければ高いほど心筋梗塞のリスクは高くなり、LDLコレステロールの値が低ければ低いほど心筋梗塞を起こすリスクは低いということがわかります。検診等では便宜上、LDLコレステロールの値を120や140で基準値を設定することが多いのですが、実際はLDLコレステロールの値に適正値というのはなく、低ければ低いほど良いことがわかっており、これを「the lower the better 」と表現します。たまに、LDLコレステロール高値を放置したり、薬を飲まないことにこだわる人がいるのですが、心筋梗塞の予防を目的とした場合、LDLコレステロールは下げれば下げるほど良いのです。勿論、薬物療法だけが全てではありません。食事療法と運動療法を中心に、LDLコレステロールがしっかりと低下するのであれば手段は何でも構いません。大切なことは、何を目的で、何が手段であるのか、目的と手段が逆転しないことです。LDLコレステロール高値を指摘されている場合は放置せずに、主治医までお気軽に相談ください。