「循環器内科.com」に「甲状腺機能亢進症」についてまとめました。

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甲状腺機能亢進症→http://循環器内科.com/hypert


【甲状腺機能亢進症とは】

甲状腺機能亢進症とは、甲状腺ホルモンが多過ぎて、様々な症状が出る病気です。若い女性に多く、日本では珍しい病気ではありません。主に10代から30代の女性で、動悸、急激な体重減少、倦怠感、不眠などを認める場合、一度甲状腺機能をチェックします。また検診などで甲状腺腫脹を認められた場合、甲状腺ホルモンの値に異常を来していないかどうか採血にてチェックします。循環器内科を受診する症状として、動悸、息切れ、心房細動などが多いです。

【甲状腺機能亢進症の症状】

甲状腺機能亢進症の症状は多彩です。甲状腺ホルモンは全身の活発さ、気力、体温や汗の調節、脈の調整、消化管の運動など幅広くに関わっているホルモンで、甲状腺機能亢進症では、全体的に元気が出過ぎる症状になります。逆に甲状腺ホルモンが足りないと全体的に元気がない症状になります。具体的には、脈が早い、ドキドキする、暑がり、汗っかき、熱っぽい、平熱が高くなった、食べている割に太らない、痩せた、お腹が緩い、生理不順、手の震え、活発になった、イライラしやすい、不安感、焦燥感、落ち着きがない、眠れない、夜遊び、浪費、過干渉、など、漠然とした心身の不調で、採血にて甲状腺機能亢進症が原因であったとわかる場合が多いです。甲状腺機能亢進症で未治療のまま長いと、甲状腺腫脹、甲状腺眼症として眼球突出、瞬きの増加、白目の広さの異常、頻脈、骨粗鬆症、低カリウム性周期性四肢麻痺などが生じます。精神症状としては、易怒性、焦燥感、不安神経症、不眠症、双極性障害、注意欠陥多動性障害、など精神疾患とよく似た症状を来たすこともしばしばあります。甲状腺の病気は、甲状腺の病気の家系、家族性があることが知られており、よく聞いてみたらお母様やおばあちゃんも実は甲状腺の病気であったということが少なくありません。いずれにせよ、甲状腺機能の異常を疑うような症状を認める場合、一度採血検査にて甲状腺機能をチェックします。

【甲状腺機能亢進症の検査】

甲状腺機能は採血検査で調べます。甲状腺ホルモン(fT3、fT4)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、さらに甲状腺疾患の特異抗体、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb)、抗サイログロブリン抗体(TgAb)、抗TSH受容体抗体(TRAb)を調べます。橋本病やバセドウ病など一般的な甲状腺の病気以外を疑う場合、甲状腺悪性腫瘍の除外が必要だと考えられる場合には必要に応じて甲状腺の専門病院にて精密検査をお願いしています。

【甲状腺機能亢進症の治療】

甲状腺機能亢進症と診断が確定したら、次にその原因を特定します。甲状腺機能亢進症の原因として最も多いのはバセドウ病です。バセドウ病は甲状腺刺激ホルモン受容体(TSH受容体)に対する自己抗体(TSH Receptor Antibody: TRAb)が原因の自己免疫性疾患で、自己抗体による刺激で甲状腺ホルモンが過剰になる病気です。治療開始時には一度甲状腺の専門医に紹介にて行っています。概要としては、内服療法、放射線療法、手術療法と大きく3つの選択肢があります。どの治療法にも一長一短があるので、専門医と相談のもと治療法を決めます。

・メルカゾール(チアマゾール)、チウラジール(プロバジール)、抗甲状腺薬です。甲状腺ホルモンの生成を抑え、甲状腺機能亢進症を治療します。治療は甲状腺刺激ホルモン受容体抗体が陰性となるまで、年単位で長期間の治療継続が必要です。0.05%の頻度で無顆粒球症という重篤な副作用が生じることがわかっているので、飲み始め、発熱時、定期的な採血にて異常がないことをチェックします。飲み薬のみで治療が可能なのがメリットです。

・ヨウ素の放射性同位体(Radio Isotope: RI)である放射性ヨードによる治療です。甲状腺機能低下症になることがしばしばあるのと、放射線を使うため妊娠中や授乳中は出来ません。手術の必要がなく、抗甲状腺薬による治療よりも治療が早期に終わるのがメリットです。

・手術療法、甲状腺を一部取り除きし、甲状腺ホルモンの値をコントールします。甲状腺機能低下症になることが多いのと、頸部に手術跡が残ります。放射線を使わなく、早く確実な治療であることがメリットです。

・インデラル(プロプラノロール)、メインテート(ビソプロロール)、テノーミン(アテノロール)、甲状腺機能亢進症による頻脈、動悸、手の震え症状の緩和に使います。

全ての薬には副作用がありますが、主治医はデメリット、メリットを総合的に考えて一人ひとりに最適な薬を処方しています。心配なことがあれば何なりと主治医またはかかりつけ薬局の薬剤師さんまでご相談ください。



【お茶の水循環器内科】

お茶の水循環器内科は5年目を迎えました。当院は2014年秋、「心血管疾患の一次予防」を理念に神田小川町にてスタートしました。2016年春、現在の神田神保町にお引越し、2018年春、「その医療は心筋梗塞を減らすだろうか?」という行動規範のもと、循環器専門の医療機関になりました。世の中には救える病気とそうでない病気があります。その中で、心筋梗塞と脳卒中は血管の故障が原因であり、心血管疾患の危険因子をコントロールすることで十分に予防が可能です。具体的には、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、心房細動、慢性腎臓病等の心血管疾患の危険因子に対して適切な治療介入と治療継続を行うことが重要で、そのために当院は夜間や土日も診療をオープンにしています。心筋梗塞と脳卒中を防ぐこと、これが我々の使命です。お茶の水循環器内科をどうぞよろしくお願いいたします。
お茶の水循環器内科院長五十嵐健祐

【具体的な診療範囲】

お茶の水循環器内科は循環器専門の医療機関です。循環器内科とは心臓と血管を専門に診る診療科です。具体的には、狭心症、心筋梗塞などの冠動脈疾患、心房細動を始めとする不整脈、心血管疾患の危険因子としての高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病、慢性心不全などの循環器疾患です。循環器内科の診療範囲を具体的にまとめました。
・冠動脈疾患(急性心筋梗塞、労作性狭心症、他)
・心筋梗塞後、抗血小板療法、ステント留置後の管理、バイパス術後の管理・慢性心不全の管理
・心臓弁膜症(僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、他)
・弁置換術後の管理、弁形成術後の管理、抗凝固療法・心筋症(肥大型心筋症、拡張型心筋症、高血圧性心肥大、他)
・大動脈瘤、大動脈解離後の管理
・不整脈(心房細動、房室ブロック、上室期外収縮、心室期外収縮、他)
・心房細動の抗凝固療法、心原性脳塞栓症の予防、アブレーション治療の適応の評価、アブレーション治療後の管理
・脳卒中、脳血管障害、脳梗塞(ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症)、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作、脳卒中後の管理
・高血圧症、二次性高血圧症
・脂質異常症、家族性高コレステロール血症
・2型糖尿病、1型糖尿病、糖尿病合併症の管理、インスリン管理
・慢性腎臓病、腎硬化症の管理、糖尿病性腎症の管理
・その他、健診後の再検査、食事指導、運動指導、禁煙外来、など
以上、心臓と血管を専門に診る診療科が循環器内科です。高血圧症、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病等の生活習慣病も心血管疾患の危険因子として循環器内科の守備範囲です。心筋梗塞や脳卒中にならないようにする、一度なってしまっても再発しないようにする、というのが循環器内科の仕事です。予防に勝る治療はありません。お気軽に主治医までご相談ください。

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