低用量アスピリンの心血管疾患一次予防効果についてメタ解析の結果が発表されました。

低用量アスピリンの心血管疾患一次予防効果についてメタ解析の結果が発表されました。
「Association of Aspirin Use for Primary Prevention With Cardiovascular Events and Bleeding Events A Systematic Review and Meta-analysis」→
https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2721178
低用量アスピリン、バイアスピリン(アスピリン)は、心筋梗塞後の再発予防に関しては有効性が確立しており必須な薬ですが、心筋梗塞を起こしていない人に対して有効性があるかどうかは不明確でした。また、アスピリンは抗血小板薬という薬に分類され、副作用として出血があり、有効性と安全性を比較した場合に有効性が上回るかどうかは結論が出ていませんでした。今回、13のランダム化比較対照試験、合計16万4225人のデータをメタ解析した結果が2019/1/22号のJAMAに発表されました。結果、バイアスピリンで心筋梗塞、ハザード比0.85(0.73-0.99)、絶対リスク減少0.28%(0.05-0.47%)、治療必要数361、脳梗塞はハザード比0.81(0.76-0.87)、絶対リスク減少0.16%(0.06-0.30%)、治療必要数540、と、バイアスピリンによる心血管疾患の一次予防効果は確実にあるということがわかりました。しかし、大出血のリスクは、アスピリン群でハザード比1.43(1.30-1.56)、絶対リスク増加0.47%(0.34-0.62%)、アスピリン群で増加してしまうことがわかりました。出血の内訳として、頭蓋内出血のハザード比1.34(1.14-1.57)、絶対リスク増加0.11%(0.04-0.18%)、害必要数927、消化管大出血のハザード比1.56(1.38-1.78)、絶対リスク増加0.30%(0.20-0.41)、害必要数334でした。上記は日経メディカルの記事を参考にさせていただきました。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/jama/201902/559732.html
具体的には、バイアスピリンを投与すると、361人に1人の心筋梗塞が減り、540人に1人の脳梗塞が減り、927人に1人の脳出血が増え、334人に1人の消化管出血が増えるという結果になるということがわかりました。アスピリンによるメリット、心筋梗塞の予防効果は確実にあるということがわかったものの、出血のリスクが確実に増すというデメリットもあるということで、一長一短であることがわかりました。また出血は消化管出血が多いということがわかりました。この結果から言えることは、一次予防群に対して一律にアスピリンを投与することを推奨は出来ないということですが、消化管出血に注意しながらアスピリンを投与開始することは心血管疾患の予防に関しては有用ではないかということも言えるのではないかと思いますし、実臨床においては心血管疾患のハイリスク者に対して一次予防であっても主治医の判断でアスピリンを処方することは経験的にあります。今まで経験的に行っていたことのエビデンスが明らかになったことが新たな価値です。詳しくはお気軽に主治医までご相談ください。

【重要】ご来院前にご確認ください。
お茶の水循環器内科は循環器専門の医療機関です。対象は狭心症、心筋梗塞等の冠動脈疾患、心房細動を始めとする不整脈、心血管疾患の危険因子としての高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病、慢性心不全等の循環器疾患です。一般的な内科診療は行っていませんので予めご了承ください。都内の医療機関探しは東京都医療機関案内サービスひまわりをご活用ください。
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【お茶の水循環器内科】

お茶の水循環器内科は循環器専門の医療機関です。当院は2014年秋、「心血管疾患の一次予防」を理念に神田小川町にてスタートしました。2016年春、現在の神田神保町にお引越し、2018年春、「その医療は心筋梗塞を減らすだろうか?」という行動規範のもと、循環器専門の医療機関になりました。世の中には救える病気とそうでない病気があります。その中で、心筋梗塞と脳卒中は血管の故障が原因であり、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、心房細動等の心血管疾患の危険因子をコントロールすることで十分に予防可能です。心血管疾患の危険因子に対して適切な治療介入と治療継続のために、お茶の水循環器内科は夜間も土日も診療をオープンにしています。心筋梗塞と脳卒中を防ぐこと、これが当院のミッションです。お茶の水循環器内科をどうぞよろしくお願いいたします。
お茶の水循環器内科院長五十嵐健祐

【具体的な診療範囲】

お茶の水循環器内科は循環器専門の医療機関です。循環器内科とは心臓と血管を専門に診る診療科です。具体的には、狭心症、心筋梗塞等の冠動脈疾患、心房細動を始めとする不整脈、心血管疾患の危険因子としての高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病、慢性心不全等の循環器疾患です。循環器内科の診療範囲を具体的にまとめました。
・冠動脈疾患(急性心筋梗塞、労作性狭心症、他)
・心筋梗塞後、抗血小板療法、ステント留置後の管理、バイパス術後の管理・慢性心不全の管理
・心臓弁膜症(僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、他)
・弁置換術後の管理、弁形成術後の管理、抗凝固療法・心筋症(肥大型心筋症、拡張型心筋症、高血圧性心肥大、他)
・大動脈瘤、大動脈解離後の管理
・不整脈(心房細動、房室ブロック、上室期外収縮、心室期外収縮、他)
・心房細動の抗凝固療法、心原性脳塞栓症の予防、アブレーション治療の適応の評価、アブレーション治療後の管理
・脳卒中、脳血管障害、脳梗塞(ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症)、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作、脳卒中後の管理
・高血圧症、二次性高血圧症
・脂質異常症、家族性高コレステロール血症
・2型糖尿病、1型糖尿病、糖尿病合併症の管理、インスリン管理
・慢性腎臓病、腎硬化症の管理、糖尿病性腎症の管理
・その他、健診後の再検査、食事指導、運動指導、禁煙外来、など
以上、心臓と血管を専門に診る診療科が循環器内科です。高血圧症、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病等の生活習慣病も心血管疾患の危険因子として循環器内科の守備範囲です。心筋梗塞や脳卒中にならないようにする、一度なってしまっても再発しないようにする、というのが循環器内科の仕事です。予防に勝る治療はありません。受付または主治医までお気軽にご相談ください。


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