2019/3/29(金)「不整脈非薬物療法ガイドライン」が改訂されました。

2019/3/29(金)「不整脈非薬物療法ガイドライン」が改訂されました。不整脈の治療には大きく薬物療法(抗不整脈薬)と、非薬物療法(心臓電気デバイス治療,カテーテルアブレーション,心臓外科手術等)があります。不整脈を取り巻く治療法の進歩は目覚ましく、特に心房細動(Atrial Fibrillation: AF)に対するカテーテルアブレーションについて改訂のポイントを整理しました。
詳しくは「不整脈非薬物治療ガイドライン」をご覧ください。
「不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)」→http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2018_kurita_nogami.pdf
まずはAFを5つ分類、
・初発AF:心電図上初めてAFが確認されたもの、経過により発作性・持続性・長期持続性に分類
・発作性AF:7日以内に洞調律に復すもの
・持続性AF:7日を超えてAFが持続するもの
・長期持続性AF:1年を超えて持続するAF
・永続性AF:AFであることが患者および医師によって受容されている場合
AFアブレーションの治療適応については、症候性AFに対しては以下のように、
発作性、持続性、長期持続性を通してカテーテルアブレーションが第一選択として推奨されるようになりました。


その他のAFに対するカテーテルアブレーションの推奨とエビデンスレベルとしては、
・高度の左房拡大や左室機能低下を認めず,薬物治療抵抗性の症候性発作性AF:I A
・症候性再発性発作性AFに対する第一選択治療としてのカテーテルアブレーション:IIa B
・心不全(左室機能低下)の有無にかかわらず,同じ適応レベルを適用する IIa B
・徐脈頻脈症候群をともなう発作性AF:IIa B
・症候性持続性AF:IIa B
・症候性長期持続性AF:IIb B
・無症候性発作性AFで再発性のもの:IIb C
・無症候性持続性AF:IIb C
・左房内血栓が疑われる場合:III A
・抗凝固療法が禁忌の場合:III A
また逆に、安易なアブレーション治療を慎むべき病態として、
・初発AF
初発発作性AF症例においては、再発性であることを確認したうえでカテーテルアブレーションの適応を考慮
・可逆的要因を有する場合
AF発生リスクの中での可逆的要因として、甲状腺機能亢進症、肥満、睡眠時無呼吸症候群、高血圧、糖尿病、脂質異常症、アルコール多飲、喫煙があり、可逆的要因を有するAF 患者においてはその解決を第1とし、是正後にも残存するAFに対して、カテーテルアブレーションの適応を考慮、と記載されました。

AFカテーテルアブレーション適応に関する総合的判断の重要性として、年齢、症状、AFの進行度という3つの因子の観点から、一般的に適応が高いのは、高齢者より若年者、無症候性AFより症候性AF、進行度の軽い発作性AFはアブレーションによる根治率が高いことから、再発抑制成績の劣る持続性および長期持続性 AFよりも治療の適応は高いといえるだろうと記載する一方で、この3因子を個別に考慮するのではなく、各患者において総合的に判断することがアブレーショ ン治療の適応を考えるうえで非常に重要、と強調しています。
AFアブレーション周術期の抗凝固療法としては、
・持続性AFおよび高リスク例(CHADS2スコア2点以上)では,ワルファリンあるいはDOACを,少なくとも3週間以上使用すべきである:IIa C
・ワルファリンもしくはダビガトランによる抗凝固療法が行われている患者では,休薬なしでAFアブレーションを施行することが推奨される:I A
・リバーロキサバン,アピキサバンによる抗凝固療法が行われている患者では,休薬なしでAFアブレーションを施行することが推奨される:IIa B
・エドキサバンによる抗凝固療法が行われている患者では,休薬なしでAFアブレーションを施行することは合理的である:IIa B
・DOACによる抗凝固療法が行われている患者では,AFアブレーション施行前に抗凝固薬を1もしくは2回休薬し,アブレーション後に再開することが推奨される :IIa B
・術後の抗凝固療法(ワルファリンあるいはDOAC)は,再発の有無にかかわらず,少なくとも3ヵ月間継続することが推奨される:IIa C
・術後 3ヵ月以降の抗凝固療法(ワルファリンあるいはDOAC)に関しては,長期経過観察期間中のAF再発を考慮し,CHADS2スコア2点以上の患者では継続投与することが望ましい:IIa C
術後の抗凝固療法については、
CHADS2スコア0点で左房拡大のない発作性AF症例では、抗凝固薬は3ヵ月後に中止可能
CHADS2スコア1点では、発作性か持続性か、塞栓リスクと出血リスク、左房径、BNP値、D-dimer値、患者の意向などを総合的に判断し、中止または続行を決定、AFの再発は心電図、ホルター心電図、携帯型心電計などで評価するが、無症候性のAFもあり、注意を要する
発作性AFでは,術後外来受診時ごとの心電図のほか、術後3ヵ月、抗不整脈薬や抗凝固薬の中止を判断する際、外来経過観察の終了時(術後12ヵ月など)にホルター心電図による評価が推奨
持続性AFでは上記に加え、6ヵ月ごとのホルター心電図による評価が推奨
と記載されました。
詳しくは「不整脈非薬物治療ガイドライン」 をご覧ください。
「不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)」→http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2018_kurita_nogami.pdf

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お茶の水循環器内科は循環器専門の医療機関です。主な対象は狭心症、心筋梗塞等の冠動脈疾患、心房細動を始めとする不整脈、心血管疾患の危険因子としての高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病、慢性心不全等の循環器疾患です。一般的な内科診療は行っていませんので予めご了承ください。都内の医療機関探しは東京都医療機関案内サービスひまわりをご活用ください。
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お茶の水循環器内科は循環器専門の医療機関です。当院は2014年秋、「心血管疾患の一次予防」を理念に神田小川町でスタートしました。2016年春、現在の神田神保町にお引越し、2018年春、「その医療は心筋梗塞を減らすだろうか?」という行動規範のもと、循環器専門の医療機関になりました。世の中には救える病気とそうでない病気があります。その中で、心筋梗塞と脳卒中は血管の故障が原因であり、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、心房細動等の心血管疾患の危険因子をコントロールすることで十分に予防可能です。心血管疾患の危険因子に対して適切な治療開始と治療継続のためにお茶の水循環器内科は夜間も土日も診療をオープンにしています。世の中から救えるはずの病気をなくすこと、これが当院のミッションです。お茶の水循環器内科をどうぞよろしくお願いいたします。
お茶の水循環器内科院長五十嵐健祐

【具体的な診療範囲】

お茶の水循環器内科は循環器専門の医療機関です。循環器内科とは心臓と血管を専門に診る診療科です。具体的には、狭心症、心筋梗塞等の冠動脈疾患、心房細動を始めとする不整脈、心血管疾患の危険因子としての高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病、慢性心不全等の循環器疾患です。循環器内科の診療範囲を具体的にまとめました。
・冠動脈疾患(急性心筋梗塞、労作性狭心症、冠攣縮性狭心症、他)
・心筋梗塞後、ステント留置後の管理、抗血小板療法、バイパス術後の管理
・慢性心不全の管理
・心筋症(肥大型心筋症、拡張型心筋症、高血圧性心肥大、他) 
・心臓弁膜症(僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、他)
・弁置換術後の管理、弁形成術後の管理、抗凝固療法
・不整脈(心房細動、房室ブロック、上室期外収縮、心室期外収縮、他)
・心房細動の抗凝固療法、心原性脳塞栓症の予防、アブレーション治療適応の評価、アブレーション治療後の管理
・脳卒中、脳血管障害、脳梗塞(ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症)、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作、脳卒中後の管理
・大動脈瘤、大動脈解離後の管理 
・高血圧症、二次性高血圧症
・脂質異常症、家族性高コレステロール血症
・2型糖尿病、1型糖尿病、インスリン管理、糖尿病合併症の管理
・慢性腎臓病、腎硬化症の管理、糖尿病性腎症の管理
・その他、健診後の再検査、食事指導、運動指導、禁煙外来、など
以上、心臓と血管を専門に診る診療科が循環器内科です。高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病も心血管疾患の危険因子として循環器内科の守備範囲です。心筋梗塞や脳卒中にならないようにする、一度なってしまっても再発しないようにする、というのが循環器内科の仕事です。予防に勝る治療はありません。お茶の水循環器内科までお気軽にご相談ください。

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