2020/2/25(火)、心電図データから畳み込みニューラルネットワークによって肥大型心筋症の検出に関する研究「Detection of Hypertrophic Cardiomyopathy Using a Convolutional Neural Network-Enabled Electrocardiogram」の結果をまとめました。

2020/2/25(火)、心電図データから畳み込みニューラルネットワークによって肥大型心筋症の検出に関する研究「Detection of Hypertrophic Cardiomyopathy Using a Convolutional Neural Network-Enabled Electrocardiogram」の結果をまとめました。肥大型心筋症(Hypertrophic cardiomyopathy: HCM)はそこまで頻度は高くはありませんが、心臓突然死の原因となる心疾患として重要です。標準12誘導心電図のデータから人工知能によるアプローチで肥大型心筋症を検出出来ないか、肥大型心筋症2448例、非肥大型心筋症51153例のデータから畳み込みニューラルネットワー(convolutional neural network: CNN)を用いてトレーニングを行いました。精度を検証するために、肥大型心筋症612例、非肥大型心筋症12788例でテストを行いました。結果、ROC曲線下面積(area under the curve: AUC)0.96(95%CI 0.95 to 0.96)、感度87%、特異度90%でした。さらに、サブ解析として、心電図にて左室肥大を認める例AUC 0.95(95%CI 0.94 to 0.97)、正常心電図AUC 0.95(95%CI 0.90 to 1.00)でした。特に若年者においては、感度95%、特異度92%でした。確率の中央値は、サルコメア遺伝子変異あり97%、サルコメア遺伝子変異なし96%と、サルコメア遺伝子変異の有無に関わらず検出可能でした。人工知能アルゴリズムを用いた心電図から肥大型心筋症の検出は高い精度で可能で、特に若年者においては高い精度を認めました。このモデルはさらなる精度の向上や外部検証が必要ですが、肥大型心筋症のスクリーニングツールになることは間違いがないだろうと論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
http://www.onlinejacc.org/content/75/7/722
若年者において肥大型心筋症の検出が感度95%、特異度92%の精度で可能という驚くべき研究結果です。人間の目視では心電図所見で左室肥大があるかどうかは可能ですが、左室肥大の原因が肥大型心筋症による左室肥大かどうかまで見分けることは人間の目視では不可能です。また今回のモデルでは心電図所見上、左室肥大の所見がない例においても肥大型心筋症を高い精度で検出しています。人智を超えたところで、人間の眼には認識出来ない心電図所見上の差があるのでしょう。心電図診断は人工知能に任せたほうが精度が高いという時代になることは間違いがないでしょう。

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