2020/3/11(水)、フラミンガム子孫研究において成人期における理想的な心血管健康と生活習慣病と死亡率の関係を調べた研究「Association of the Duration of Ideal Cardiovascular Health Through Adulthood With Cardiometabolic Outcomes and Mortality in the Framingham Offspring Study」の結果をまとめました。アメリカ心臓協会(American Heart Association)が提唱する理想的な心血管健康スコア(cardiovascular health: CVH score)は、心血管疾患と死亡リスクに関係していますが、理想的な心血管健康を何年費やすことが必要か、中年における心血管健康を高めることは、その後の人生において、高血圧、糖尿病、慢性腎臓病、心血管疾患(冠動脈疾患、脳卒中、うっ血性心不全、末梢動脈疾患)、全死亡を低下させるかどうか調べるために、1991年から2015年まで、マサチューセッツにてフラミンガムハートスタディ子孫研究(Offspring investigation)の登録者1445例を対象に、心血管健康スコアを、5回目(1991-1995年)、6回目(1995-1998年)、7回目(1998-2001年)で評価、心血管スコアとアウトカムとの関係を、中央値16年間追跡しました。心血管健康スコアは、低度(0-7)、中程度(8-11)、理想(12-14)、複合スコアとして、喫煙状況、食事、身体活動、安静時血圧値、BMI、空腹時血糖値、総血清コレステロール値を定義しました。主要アウトカムとして、7回目の調査までの高血圧、糖尿病、慢性腎臓病、心血管疾患、全死亡の発生数としました。1445例のうち、発生数/リスク数は、高血圧348/795、糖尿病104/1304、慢性腎臓病198/918、心血管疾患210/1285、全死亡300/1445、心血管健康スコア低度568例(39%)、中程度782例(54%)でした。7回目の調査以前の5年間で、心血管健康スコア中程度または理想であった群は、低度の群と比べて、高血圧(HR 0.67 95%CI 0.56-0.80)、糖尿病(HR 0.73 95%CI 0.57-0.93)、慢性腎臓病(HR 0.75 95%CI 0.63-0.89)、心血管疾患(HR 0.73 95%CI 0.63-0.85)、全死亡(HR 0.86 95%CI 0.76-0.97)の低下を認めました。年齢や性別による違いは認めませんでした。中年期において心血管健康に長期の時間を費やすことは心疾患や代謝疾患に対してベネフィットをもたらし、その後の死亡率を低下と関係している可能性があると論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
→https://jamanetwork.com/journals/jamacardiology/fullarticle/2762493
中年期に心血管健康を高く保つことは有効で、そのために必要な年数は少なくとも5年間以上であり、5年間以上、理想的な心血管健康スコアを達成、維持出来れば、高血圧33%、糖尿病27%、慢性腎臓病25%、心血管疾患27%、全死亡14%防ぐことが出来るという研究結果です。
2020/3/11(水)、フラミンガム子孫研究において成人期における理想的な心血管健康と生活習慣病と死亡率の関係を調べた研究「Association of the Duration of Ideal Cardiovascular Health Through Adulthood With Cardiometabolic Outcomes and Mortality in the Framingham Offspring Study」の結果をまとめました。