2020/7/1、COVID-19パンデミックとストレス性心筋症の発生について調べた研究「Incidence of Stress Cardiomyopathy During the Coronavirus Disease 2019 Pandemic」の結果をまとめました。COVID-19パンデミックは、心理的、社会的、経済的に我々の生活に深刻なストレスをもたらしました。パンデミックのストレスとストレス性心筋症(stress cardiomyopathy)の発症の関連については十分にわかっていませんでした。COVID-19パンデミックの期間と、パンデミック前と、ストレス性心筋症の発生率、転帰を調べるために、北東オハイオ州の「Cleveland Clinic health system」にて、心臓カテーテル室で経皮的冠動脈形成術可能な2病院、急性冠症候群を呈して冠動脈造影を実施、たこつぼ心筋症(Takotsubo syndrome)としても知られるストレス性心筋症の発生率、後ろ向きコホート研究を実施しました。COVID-19パンデミック、2020/3/1から4/30まで、過去に急性冠症候群の4つの群を対照群として、4つの期間、2018年3月から4月、2019年1月から2月、2019年3月から4月、2020年1月から2月と比較しました。COVID-19パンデミック関連の臨床経過を5つの群に分け、ストレス性心筋症の発生率を調べました。結果、急性冠症候群1914例のうち、1656例はパンデミック前の期間に発生、平均年齢67歳、男性66.1%、2018年3月から4月390例、2019年1月から2月309例、2019年3月から4月679例、2020年1月から2月278例、2020年3月から4月、COVID-19パンデミック期間中258例、平均年齢67歳、男性67.8%でした。COVID-19パンデミック期間中のストレス性心筋症の発生はパンデミック前の期間と比べて有意に増加、全体で20例(7.8%)がストレス性心筋症、パンデミック期間前は5例(1.5%)から12例(1.8%)でした。COVID-19パンデミック期間中の発生率比はパンデミック期間前と比べて、4.58倍(95%CI 4.11-5.11; P <0.001)でした。COVID-19パンデミック期間中の全例はCOVID-19の逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応検査の結果は陰性でした。COVID-19パンデミック期間中のストレス性心筋症は、パンデミック期間前の入院と比べて、入院期間が長い傾向(COVID-19 period: 8 [6-9] days; March-April 2018: 4 [3-4] days; January-February 2019: 5 [3-6] days; March-April 2019: 4 [4-8] days; January-February: 5 [4-5] days; P =0.006)を認めました。死亡率に関しては、COVID-19パンデミック期間中、パンデミック期間前で有意差(1 patient [5.0%] vs 1 patient [3.6%], respectively; P = .81) or 30-day rehospitalization (4 patients [22.2%] vs 6 patients [21.4%], respectively; P =0.90)を認めませんでした。今回の研究から、COVID-19パンデミック期間中のストレス性心筋症の発生率は、パンデミック期間前と比べて有意に増加していることがわかりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32644140
たこつぼ心筋症(Takotsubo syndrome)、ストレス性心筋症(stress cardiomyopathy)はCOVID-19パンデミック期間中は急性冠症候群を疑う例のうち7.8%で、パンデミック期間前と比べて4.58倍に増加していたとの報告です。
2020/7/1、COVID-19パンデミックとストレス性心筋症の発生について調べた研究「Incidence of Stress Cardiomyopathy During the Coronavirus Disease 2019 Pandemic」の結果をまとめました。