2020/10/19、糖尿病、冠動脈血行再建後、LDLコレステロール低下と心血管転帰への影響を調べた研究「Influence of LDL-Cholesterol Lowering on Cardiovascular Outcomes in Patients With Diabetes Mellitus Undergoing Coronary Revascularization」の要旨をまとめました。LDLコレステロール高値は特にハイリスク集団において心血管事象の上昇と関連しています。2型糖尿病、確定冠動脈心疾患、経皮的冠動脈形成術または冠動脈バイパス術等の血行再建後、または至適薬物療法単独において、LDLコレステロールの心血管事象に与える影響を調べるために、3つの無作為化臨床試験の症例レベル蓄積解析を実施しました。2型糖尿病、LDLコレステロール値に応じて分類、無作為化、1年間追跡しました。主要評価項目は主要有害心脳血管事象(major adverse cardiac or cerebrovascular events: MACCE)、全死亡、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中の複合としました。結果、全4050例、1年間の初期評価後、中央値3.9年追跡しました。1年間のLDLコレステロール100mg/dl以上群は、LDLコレステロール70mg/dl未満群と比べて、主要有害心脳血管事象4年累積リスク有意高値(17.2% vs. 13.3% vs. 13.1% for LDL-C between 70 and <100 mg/dl and LDL-C <70 mg/dl, respectively; p = 0.016)を認めました。至適薬物療法単独群と比べて、経皮的冠動脈形成術後、1年間のLDLコレステロール70mg/dl未満群においてのみ、主要有害心脳血管事象の有意な減少(hazard ratio: 0.61; 95% confidence interval: 0.40 to 0.91; p = 0.016)を認めましたが、冠動脈バイパス術後では、1年間のLDLコレステロール全ての分類において、転帰の改善と関連を認めました。1年間のLDLコレステロール70mg/dl以上の例において、冠動脈バイパス術は経皮的冠動脈形成術と比べて、主要有害心脳血管事象は有意に低値でした。2型糖尿病、冠動脈心疾患、1年間のLDLコレステロール低値は経皮的冠動脈形成術後、冠動脈バイパス術後、いずれにおいても長期の主要有害心脳血管事象転帰の改善と関連を認めました。至適薬物療法単独と比べて、経皮的冠動脈形成術はLDLコレステロール70mg/dl未満の場合においてのみ、主要有害心脳血管事象の減少と関連を認めました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.jacc.org/doi/10.1016/j.jacc.2020.09.536
冠動脈疾患二次予防におけるLDLコレステロール70未満のエビデンスです。経皮的冠動脈形成術後はLDLコレステロール70未満の管理で心血管疾患39%減少の有意差を認めました。お茶の水循環器内科では二次予防においてはLDLコレステロール70未満を目標に管理しています。詳しくは主治医とご相談ください。
2020/10/19、糖尿病、冠動脈血行再建後、LDLコレステロール低下と心血管転帰への影響を調べた研究「Influence of LDL-Cholesterol Lowering on Cardiovascular Outcomes in Patients With Diabetes Mellitus Undergoing Coronary Revascularization」の要旨をまとめました。