「小児家族性高コレステロール血症診療ガイドライン2022」の内容をまとめました。

「小児家族性高コレステロール血症診療ガイドライン2022」の内容をまとめました。
家族性高コレステロール血症(Familial Hypercholesterolemia: FH)は、LDL受容体及び関連遺伝子変異を原因とする遺伝性疾患で、高LDLコレステロール血症、動脈硬化性疾患ハイリスクで、早期診断、治療介入により、将来の動脈硬化性疾患を予防することが大切です。2017年、日本小児科学会・日本動脈硬化学会「小児家族性高コレステロール血症診療ガイド」発表後5年ぶりの改訂です。臨床疑問Qに対する回答、エビデンスレベル、推奨度の順で記載されています。
https://www.j-athero.org/jp/wp-content/uploads/publications/pdf/FH_G_P2022.pdf
Q、わが国においてFHの有病率はどの程度か?
総じて、一般人口の300人に1人程度、冠動脈疾患の30人に1人程度、早発性冠動脈疾患や重症高LDL-C血症の15人に1人程度認められる。(エビデンスレベル: E-2)
Q、FH患者の予後・主たる合併症にはどのようなものがあるか?
・冠動脈疾患:オッズ比は非FHと比較し10〜20倍(エビデンスレベル:E-1a)
・末梢動脈疾患:オッズ比は非FHと比較し5〜10倍(エビデンスレベル:E-1a)
・脳卒中:影響は明確でない(エビデンスレベル: E-1a)
・大動脈弁狭窄症:疫学的な関連は示されていないが、合併するFHの症例報告がある(エビデンスレベル: E-3)
・腹部大動脈瘤:疫学的な関連は示されていないが、合併するFHの症例報告がある(エビデンスレベル: E-3)
Q、FHヘテロ接合体の薬物治療においてスタチンを第一選択に推奨できるか?
FHヘテロ接合体の治療には、スタチンを第一選択薬とする厳格な脂質管理を推奨する。(エビデンスレベル: 3、推奨レベル:A)

Q、FHホモ接合体および薬物療法抵抗性の重症ヘテロ接合体に対しては、LDLアフェレシス治療を推奨するか ?
FHホモ接合体および薬物療法抵抗性の重症ヘテロ接合体に対しては、LDLアフェレシス治療を施行してLDLコレステロールを厳格にコントロールすることを推奨する。(エビデンスレベル:3、推奨レベル:A)


Q、小児FH患者において早期から治療を開始することは推奨されるか ?
FHは動脈硬化性疾患のハイリスク病態であり、LDLコレステロール値に応じて、早期からの治療開始を推奨する。(エビデンスレベル:コンセンサス、推奨レベル:A)


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