日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2018年版」の内容をまとめました。

日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2018年版」の内容をまとめました。脂質異常症は冠動脈疾患の大きな危険因子の一つです。2017年発行の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版」が発行され、その翌年に普及啓発の一貫として 「動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2018年版」 が発行されました。
http://www.j-athero.org/publications
https://www.amazon.co.jp/dp/4907130058
第一に、脂質異常症の治療の目的は冠動脈疾患や脳卒中等の動脈硬化性疾患を予防することです。そのためには、脂質異常症だけではなく、高血圧症、糖尿病、喫煙、肥満、メタボリック症候群、慢性腎臓病等の動脈硬化性疾患の危険因子の包括的管理が重要です。脳血管疾患、心血管疾患を含む包括的なリスク評価としては、日本内科学会「脳心血管病予防のための包括的リスク管理チャート」が有用です。
https://www.naika.or.jp/info/crmcfpoccd
脂質異常症の診断基準としては、LDLコレステロール140以上、HDLコレステロール40未満、TG150未満、と以前から変更はありません。動脈硬化性疾患の形態学的検査法としては、頸動脈エコー、冠動脈CT、頭部MRI、冠動脈カテーテル検査など、血管機能検査としてはABI等があります。病態把握ための詳細な検査としては、アポリポ蛋白、リポ蛋白(a)、リポ蛋白リパーゼ、リポ蛋白分画、レムナント様リポ蛋白コレステロール、遺伝子検査等があります。続発性脂質異常症としては、甲状腺機能異常、ネフローゼ症候群、肝疾患、薬剤性、他、様々な鑑別疾患があります。
管理目標値としては、まず冠動脈疾患の既往の有無、冠危険因子、生活習慣、家族歴等から発症リスクを評価します。具体的には、吹田スコアという絶対リスクによって評価を行います。
http://www.j-athero.org/publications/gl2017_app.html
具体的には、LDLコレステロールの管理目標値は、低リスク群で160、中リスク群で140、高リスク群で120、二次予防群では100未満、さらにハイリスク群では70未満です。HDL、TGは管理目標値は同一です。吹田スコアは上記リンクから30秒程度で計算可能です。
治療は続発性脂質異常症の場合はまずは原疾患の治療を行うこと、禁煙、食事療法、運動療法と言った生活習慣の改善から開始します。減量目標としてまずは体重の3%減量を目標とします。
食事療法の実際としては、具体的には、過食を抑え、適正体重を維持すること、肉の脂身、動物脂(牛脂、ラード、バター)、乳製品の摂取を抑え、魚、大豆の摂取を増やすこと、野菜、海藻、きのこの摂取を増やすこと、果物を適度に摂取すること、精白された穀類を減らし、未精製穀類や麦などを増やすこと、食塩を多く含む食品の摂取を控えること、アルコールの過剰摂取を控えること、などが記載されています。
運動療法としては、中程度以上の有酸素運動を一日合計30分以上、毎日続けることが望ましい、少なくとも週3日以上を目標とします。具体的には、ウォーキング、速歩、水泳、エアロビクスダンス、スロージョギング、サイクリング、ベンチステップ運動などです。
食事療法、運動療法で効果不十分な場合には薬物療法を開始します。LDL低下が最も重要で、NoN-HDL低下はLDLの次に重要、TG低下も管理目標値の一つとされています。管理目標値は上記の絶対リスク評価をもとに行います。脂質異常症の治療薬には様々なものがありますが、LDLが高い場合にはスタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)という薬が中心です。スタチン以外の脂質異常症治療薬には、小腸コレステロールトランスポーター阻害薬、レジン(陰イオン交換樹脂)、プロブコール、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、フィブラート系薬、選択的PPARαモジュレーター、ニコチン酸誘導体、多価不飽和脂肪酸、植物ステロールなどがあります。非薬物療法としてはLDLアフェレーシスがあります。
その他のリスク合併時の管理としては、喫煙、高血圧、糖尿病、慢性腎臓病、メタボリックシンドローム、冠動脈疾患の既往、脳血管障害の既往、末梢動脈疾患、腹部大動脈瘤、高尿酸血症、睡眠時無呼吸症候群などの管理が重要です。詳しくは下記ページをご覧ください。
脂質異常症→http://循環器内科.com/dl
家族性高コレステロール血症→http://循環器内科.com/fh

【お茶の水循環器内科】

お茶の水循環器内科院長の五十嵐健祐です。お茶の水循環器内科はお茶の水にある循環器内科です。当院は2014年秋、「心血管疾患の一次予防」を理念に神田小川町でスタートしました。2016年春、現在の神田神保町にお引越し、2018年春、「その医療は心筋梗塞を減らすだろうか?」という行動規範のもと、循環器専門の医療機関になりました。世の中には救える病気とそうでない病気があります。その中で、急性心筋梗塞と脳卒中は血管の故障が原因であり、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、心房細動等の心血管疾患の危険因子をコントロールすることで十分に予防可能です。心血管疾患の危険因子に対して適切な治療開始と治療継続のためにお茶の水循環器内科は夜間も土日も診療をオープンにしています。世の中から救えるはずの病気をなくすこと、これが当院のミッションです。お茶の水循環器内科をよろしくお願いいたします。
お茶の水循環器内科院長五十嵐健祐

【お茶の水循環器内科の具体的な診療範囲】

お茶の水循環器内科はお茶の水にある循環器内科です。循環器内科とは心臓と血管を専門に診る診療科です。具体的には、狭心症、心筋梗塞等の冠動脈疾患、心房細動を始めとする不整脈、心血管疾患の危険因子としての高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病、慢性心不全等の循環器疾患です。循環器内科の診療範囲を具体的にまとめました。
・冠動脈疾患(急性冠症候群、急性心筋梗塞、不安定狭心症、冠攣縮性狭心症、労作性狭心症、慢性冠動脈疾患、陳旧性心筋梗塞、他)
・心筋梗塞後、ステント留置後の管理、抗血小板療法、バイパス術後の管理
・慢性心不全の管理
・心筋症(肥大型心筋症、拡張型心筋症、高血圧性心肥大、他) 
・心臓弁膜症(僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、他)
・弁置換術後の管理、弁形成術後の管理、抗凝固療法
・不整脈(洞不全症候群、心房細動、心房粗動、上室期外収縮、発作性上室頻拍、WPW症候群、房室ブロック、脚ブロック、Brugada症候群、心室頻拍、QT延長症候群、心室期外収縮、他)
・心房細動の抗凝固療法、心原性脳塞栓症の予防、アブレーション治療の適応評価、アブレーション治療後の管理
・脳卒中、脳血管障害、脳梗塞(ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症)、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作、脳卒中後の管理
・大動脈瘤、大動脈瘤状拡大、大動脈解離後の管理 
・高血圧症、二次性高血圧症、高血圧切迫症、他
・脂質異常症、家族性高コレステロール血症
・2型糖尿病、1型糖尿病、インスリン療法、糖尿病合併症の管理
・慢性腎臓病、腎硬化症の管理、糖尿病性腎症の管理
・その他、健診後の再検査、食事指導、運動指導、禁煙外来、など
以上、心臓と血管を専門に診る診療科が循環器内科です。高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病も心血管疾患の危険因子として循環器内科の守備範囲です。心筋梗塞や脳卒中にならないようにする、一度なってしまっても再発しないようにする、というのが循環器内科の仕事です。予防に勝る治療はありません。お茶の水循環器内科までお気軽にご相談ください。

【代表的な診療の進め方】

・胸痛
循環器内科受診の最も多い症状の一つが胸痛です。胸痛の原因は、急性心筋梗塞や狭心症など命に関わる心疾患から、肺気胸や逆流性食道炎など心臓以外の疾患、肋間神経痛やあらゆる特に検査で異常を認めないものまで、多岐に渡ります。その中でも特に命に関わる救急疾患として急性心筋梗塞や狭心症かどうかの判断が重要です。お茶の水循環器内科では、急性心筋梗塞や狭心症の精査除外に特に力を入れています。院内には心電図、胸部レントゲン、心筋トロポニン迅速検査が常備されており、その場で急性心筋梗塞の可能性があるかどうかの迅速な判断が可能です。緊急性を要する疾患を認めた際には速やかにカテーテル治療が可能な救急病院へ紹介します。冠動脈狭窄が疑われる場合は、飯田橋の心臓画像クリニックにて冠動脈CTや心臓MRIを手配出来る体制が整っています。一方で、一通りの心疾患が否定された場合には適切な診療科へ紹介しています。いずれにせよ、命に関わる救急疾患として急性心筋梗塞や狭心症ではないことの確認が重要です。詳しくは循環器内科.comのページをご覧ください。
胸痛の診療の進め方→http://循環器内科.com/chestpain

・動悸
胸痛と並んで循環器内科受診の最も多い症状の一つが動悸です。動悸の原因は、心室細動や心室頻拍等の致死的な不整脈から、脳梗塞の原因となる不整脈である心房細動、貧血や甲状腺機能の異常、特に治療の必要のない正常範囲の脈の乱れである心室期外収縮や上室期外収縮、洞性頻脈など多岐に渡ります。その中でも特に命に関わる致死的不整脈や脳梗塞の原因となる不整脈である心房細動かどうかの判断が重要です。不整脈の診療においては症状出現時の心電図記録が鍵を握ります。お茶の水循環器内科ではホルター心電図を5台常備しており、迅速な精密検査が可能です。症状出現時の心電図記録が出来れば、原因は不整脈かどうか、不整脈の場合は治療が必要なものか経過観察で問題のないものか、確実に診断が付きます。カテーテルアブレーション治療が可能な専門病院へ紹介します。一方で、一通りの心疾患が否定された場合には適切な診療科へ紹介しています。いずれにせよ、命に関わる致死的不整脈や脳梗塞の原因となる不整脈である心房細動ではないことの確認が重要です。詳しくは循環器内科.comのページをご覧ください。
動悸の診療の進め方→http://循環器内科.com/palpitation

・息切れ
息切れは循環器内科においては心不全の症状として注意が必要です。心不全の有無と程度の評価には採血にてBNPまたはNT-proBNP、心エコー検査が有用です。労作時の息切れのように、冠動脈疾患を強く疑う場合には冠動脈CT、冠動脈カテーテル検査、動悸症状としての息切れの場合には、24時間心電図、ホルター心電図等で精査して行きます。心疾患の他には、呼吸器疾患、貧血、低血圧、甲状腺疾患等、幅広く鑑別が必要です。弁膜症、心筋症、冠動脈疾患等何らかの心疾患を認めた場合は、専門病院へ紹介して行きます。一方で、一通りの心疾患が否定された場合には適切な診療科へ紹介しています。いずれにせよ、心不全や命に関わる冠動脈疾患ではないことの確認が重要です。詳しくは循環器内科.comのページをご覧ください。
息切れの診療の進め方→http://循環器内科.com/dyspnea

【循環器内科.com】

循環器内科.comはお茶の水循環器内科が運営する循環器内科を中心とした医療情報サイトです。循環器内科はどうしても専門的な用語や概念が多く登場し、わかりにくいところが多いですが、正確で情報を整理しておきたいという気持ちで循環器内科.comを始めました。診療の合間の時間で日々更新中です。内容についてわからない点があればお茶の水循環器内科までご相談ください。
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【冠動脈疾患】
代表的な診療の流れ→http://循環器内科.com/flow
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動悸の診療の進め方→http://循環器内科.com/palpitation
期外収縮の診療の仕方→http://循環器内科.com/pc
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電気生理学的検査→http://循環器内科.com/eps
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心房中隔欠損→http://循環器内科.com/asd
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卵円孔開存→http://循環器内科.com/pfo 
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感染性心内膜炎→http://循環器内科.com/ie
急性心筋炎→http://循環器内科.com/am
BNP→http://循環器内科.com/bloodtest 
心エコー→http://循環器内科.com/ucg
心臓MRI→http://循環器内科.com/cmri
【冠危険因子】
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二次性高血圧症→http://循環器内科.com/sht
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禁煙外来→http://循環器内科.com/smoking
法定検診→http://循環器内科.com/kenshin
検診結果の見方→http://循環器内科.com/kekka
【脳血管疾患】
脳卒中→http://循環器内科.com/stroke
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心原性脳塞栓症→http://循環器内科.com/cce
一過性脳虚血発作→http://循環器内科.com/tia
頸動脈エコー→http://循環器内科.com/cau
頭部CT→http://循環器内科.com/hct
頭部MRI→http://循環器内科.com/hmri
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スタチン→http://循環器内科.com/statin
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