2020/1/16(木)、心血管疾患においてリポ蛋白(a)の低下について検討した研究「Lipoprotein(a) Reduction in Persons with Cardiovascular Disease: AKCEA-APO(a)-LRx Study」の結果をまとめました。

2020/1/16(木)、心血管疾患においてリポ蛋白(a)の低下について検討した研究「Lipoprotein(a) Reduction in Persons with Cardiovascular Disease: AKCEA-APO(a)-LRx Study」の結果をまとめました。リポ蛋白(a)は心血管疾患の危険因子の一つであり、主に遺伝的に決定されています。肝細胞を標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドの「APO(a)-LRx」の効果を検討しました。リポ蛋白(a)値60 mg/dL以上の286例を対象に、APO(a)-LRxを、4週ごとに20mg、40mg、60mgのいずれかを1回投与、20mgを2週ごとに1回投与、20mgを週1回投与、プラセボ群の6群に分け、6-12ヶ月間追跡しました。結果、ベースラインのリポ蛋白(a)中央値は204.5-246.6nmol/Lで、APO(a)-LRxの投与により、リポ蛋白(a)値は用量依存的に低下しました。具体的には、20mg4週ごと投与群35%、40mg4週ごと投与群56%、20mg2週ごと投与群58%、60mg4週ごと投与群72%、20mg週1回投与群80%、プラセボ群6%と有意差(プラセボ群に対してP=0.003<0.001)を認めました。実薬群において、血小板数、肝機能、腎機能、インフルエンザ様症状等に関してプラセボ群と差を認めませんでした。頻度の多い有害事象は注射部位反応でした。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1905239
アンチセンスオリゴヌクレオチド(antisense oligonucleotide: ASO)とは核酸医薬の一つで、特定の分子に特異的に作用する分子標的薬の一つです。核酸医薬は、化学的に合成された核酸が標的とする細胞に取り込まれ、標的とするmRNAに対し二重鎖結合を形成、蛋白質への翻訳を阻害、または標的とするmRNAと結合することで分解を誘導、従来の医薬品では狙えない細胞内の標的分子を特異的にブロックすることが可能であることが特徴です。今回、心血管疾患が減少したかどうかは評価項目ではありませんでしたが、リポ蛋白(a)値が実際に低下を認めたということで、ついに循環器領域においても核酸医薬が登場して来たかという印象です。

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