2019/11/12(火)、心血管疾患ハイリスク群のLDLコレステロールに対して最大耐量のスタチンに加えてベンペド酸の上乗せ効果について検討した研究「Effect of Bempedoic Acid vs Placebo Added to Maximally Tolerated Statins on Low-Density Lipoprotein Cholesterol in Patients at High Risk for Cardiovascular Disease: The CLEAR Wisdom Randomized Clinical Trial」の結果をまとめました。

2019/11/12(火)、心血管疾患ハイリスク群のLDLコレステロールに対して最大耐量のスタチンに加えてベンペド酸の上乗せ効果について検討した研究「Effect of Bempedoic Acid vs Placebo Added to Maximally Tolerated Statins on Low-Density Lipoprotein Cholesterol in Patients at High Risk for Cardiovascular Disease: The CLEAR Wisdom Randomized Clinical Trial」の結果をまとめました。心血管疾患の予防のためにはLDLコレステロールは下げれば下げるほど良いと言われていますが、スタチンが使えなかったり、スタチンを最大耐量使用してもLDLが十分に下がらない場合もあります。アメリカとヨーロッパの91の施設にて、2016年から2018年まで、最大耐量の脂質低下療法を行ってもLDL 70以上である779例(ベースラインのLDL 120.4mg/dL)を対象に、ベンペド酸(bempedoic acid)180mg投与群522例とプラセボ群257例に分け、52週間追跡しました。736例(94.5%)は家族性高コレステロール血症ではない心血管疾患既往例でした。結果、12週後の時点で、ベンペド酸投与群はプラセボ群と比べて、有意にLDLコレステロールの低下(–15.1% vs 2.4% 差–17.4% 95%CI –21.0% to –13.9% P <0.001)を認めました。LDLコレステロール低下は24週後、52週後も維持されました。他のマーカーとしては、non–HDLコレステロール(–10.8% vs 2.3% 差–13.0% 95%CI –16.3% to –9.8% P<0.001)、総コレステロール(–9.9% vs 1.3% 差 –11.2% 95%CI –13.6% to –8.8% P<0.001)、いずれも優位差を認めました。有害事象については特に差がなく、CKの上昇、HbA1cの上昇を認めませんでした。
https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2754792
ベンペド酸の第3相試験「CLEAR Wisdom trial」の結果です。ベンペド酸は、細胞質内においてクエン酸を分解してアセチルCoAの生成に関わるクエン酸リアーゼ阻害薬として作用します。アセチルCoAは、アセトアセチルCoA、HMG-CoA、メバロン酸となりコレステロール合成回路へ進んで行きますが、最初のアセチルCoAの生成をブロックすることでコレステロール合成をブロックするという作用機序です。ちなみに、HMG-CoA阻害薬がスタチンです。スタチンではCKの上昇がしばしば問題となりますが、CLEAR Wisdom trialではCK上昇が一例も見られなかったとのことが注目です。スタチンのより上流をブロックするということで、スタチンへの上乗せ作用が期待されています。今後また情報があれば更新します。

PAGETOP