2019/12/18(水)、睡眠パターンと遺伝的リスクと心血管疾患の関係を調べたイギリスの大規模研究「Sleep patterns, genetic susceptibility, and incident cardiovascular disease: a prospective study of 385 292 UK biobank participants」の結果をまとめました。イギリスにおいて、「UK Biobank」に登録されている、心血管疾患の既往のない38万5292例を対象に、中央値8.5年間追跡しました。追跡期間中に新規に7280例の心血管疾患(冠動脈疾患4667例、脳卒中2650例) 発生しました。睡眠パターンについて、5つの睡眠因子、具体的には、概日リズム(朝型を健康と定義)、睡眠時間(7-8時間を健康と定義)、不眠(不眠なしを健康と定義)、いびき(いびきなしを健康と定義)、日中の過度の眠気(低頻度を健康と定義)、スコア0-5点による睡眠スコアを算出、スコア0-1点を不健康な睡眠パターン、スコア4点以上を健康な睡眠パターンと定義したところ、健康な睡眠パターンの群は、不健康な睡眠パターンの人と比べ、心血管疾患35%(95%CI 19-48%)、冠動脈疾患34%(95%CI 22-44%)、脳卒中34%(95%CI 25~42%)の有意(全てP<0.001)なリスク低下を認めました。さらに、冠動脈疾患、脳卒中との有意な関連が知られている一塩基多型(SNP)を解析、遺伝的リスクスコアを算出、高リスク群、中等度リスク群、低リスク群に分類、睡眠スコアと遺伝的リスクの複合的な影響を解析した結果、遺伝的リスクが低く健康な睡眠パターンの人を対照群とした場合、遺伝的リスクが高く不健康な睡眠パターンの人では冠動脈疾患リスク(HR 2.54、95%CI 1.80-3.57)、脳卒中リスク(HR 1.49、0.90~2.47)ともの上昇していました。また、遺伝的リスクが高いものの健康な睡眠パターンの人は冠動脈疾患2.1倍、脳卒中1.3倍にとどまりました。遺伝的リスクは低いものの不健康な睡眠パターンの人は、冠動脈疾患リスク1.7倍、脳卒中リスク1.6倍に上昇していました。詳しくは論文をご覧ください。
→https://academic.oup.com/eurheartj/advance-article/doi/10.1093/eurheartj/ehz849/5678714
この研究から言えることは、睡眠パターンが心血管疾患に与える影響は、遺伝的リスクによる影響と同程度あるということです。今回の研究では、概日リズム朝型、睡眠時間7-8時間、不眠なし、いびきなし、日中の過度の眠気低頻度を、「健康な睡眠パターン」と定義しています。心血管疾患の予防のためには睡眠パターンも重要と言うことが出来るでしょう。
2019/12/18(水)、睡眠パターンと遺伝的リスクと心血管疾患の関係を調べたイギリスの大規模研究「Sleep patterns, genetic susceptibility, and incident cardiovascular disease: a prospective study of 385 292 UK biobank participants」の結果をまとめました。