2020/2/6(木)、低線量CTスクリーニングによる肺癌死亡率の低下について研究「Reduced Lung-Cancer Mortality with Volume CT Screening in a Randomized Trial」の結果をまとめました。

2020/2/6(木)、低線量CTスクリーニングによる肺癌死亡率の低下について研究「Reduced Lung-Cancer Mortality with Volume CT Screening in a Randomized Trial」の結果をまとめました。低線量CT(low-dose computed tomographic)スクリーニングによって肺癌の死亡率は減るかどうかを調べるために、オランダとベルギーにおいて、過去または現在の喫煙歴のある50歳から74歳の男性1万3195例、女性2594例を対象に、1年後、2年後、3年後、5.5年後にCT検査を受ける群と、受けない群に分けて、2015年まで10年間追跡しました。結果、CT検査を予定通り受けたのは90.0%でした。平均9.2%が再検査を受け、全体の2.1%が疑わしい結節影が認められ精密検査へ紹介されました。肺癌の発生は、10年間の追跡でCTスクリーニング群の5.58/1000人年、コントロール群の4.91/1000人年に発見されました。10年間の肺癌による累積死亡率はそれぞれ、2.50/1000人年、3.30/1000人年、有意差(0.76 95%CI 0.61 to 0.94 P=0.01)を認めました。女性においても同様(0.67 95%CI 0.38 to 1.14)でした。過去の喫煙、現在の喫煙のあるハイリスク群において、低線量CTによる肺癌スクリーニングは有用であることがわかりました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa1911793
低線量CTのスクリーニングによって肺癌は初期に発見され、死亡率の差につながったのではないかと考えられますが、喫煙の肺癌のリスク因子であることはわかっているので、肺癌検診を頻繁に受けることよりも喫煙をしないことが大事です。また、10年、20年と喫煙歴がある方は冠動脈CTで冠動脈疾患が非常に多く見付かります。降圧薬を飲みながら禁煙しない人もいますが、血圧はコントロール出来ても、発がん性と動脈硬化への影響は防げていません。予防に勝る治療なしです。

PAGETOP