2020/1/21(火)、心不全と静脈血栓塞栓症の長期リスクについて調べた研究「Incident Heart Failure and Long-Term Risk for Venous Thromboembolism」の結果についてまとめました。

2020/1/21(火)、心不全と静脈血栓塞栓症の長期リスクについて調べた研究「Incident Heart Failure and Long-Term Risk for Venous Thromboembolism」の結果についてまとめました。心不全の静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism: VTE)の長期リスクを調べるために、ARIC(Atherosclerosis Risk In Communities)研究の登録者を対象に、静脈血栓塞栓症のリスク、心不全、心不全のサブタイプ、心エコー所見による異常所見と比較しました。結果、1万2728例、中央値22年の追跡で、心不全2696例(20%)、静脈血栓塞栓症729例(5.3%)発生、解析の結果、心不全は静脈血栓塞栓症の長期リスクと有意に関係(調整後HR 3.13 95%CI 2.58 to 3.80)を認めました。心不全のサブタイプでは、左室駆出率が保たれた心不全(HF with preserved ejection fraction: HFpEF)(調整後HR 4.71 95%CI 2.94 to 7.52)、左室駆出率が低下した心不全(HF with reduced ejection fraction: HFrEF)(調整後HR 5.53 95%CI 3.42 to 8.94)、いずれのタイプの心不全においても静脈血栓塞栓症のリスク因子と関連していました。心不全のない5438例の3.5年間の追跡データを解析した結果、左室壁の相対的肥厚(left ventricular relative wall thickness)、平均左室壁厚(mean left ventricular wall thickness)が静脈血栓塞栓症の独立した予測因子であることがわかりました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0735109719384669
心不全は静脈血栓塞栓症のリスク因子であることは知られていますが、心エコーによる左室壁厚が予測因子であることが明らかになりました。心不全で、定期的に心エコー、凝固系の検査が必要な理由です。

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