2020/1/21(火)、睡眠時の低酸素負荷と心血管疾患死亡率の関係を調べた研究「Composition of nocturnal hypoxaemic burden and its prognostic value for cardiovascular mortality in older community-dwelling men」の結果をまとめました。睡眠時低酸素負荷(nocturnal hypoxaemic burden: NHB)と心血管疾患の関係を調べるために、「MrOS Sleep」(Outcomes of Sleep Disorders in Older Men)studyの登録者、男性2840例を対象に、終夜ポリソムノグラフィー検査のデータから、1時間あたりの酸素濃度の低下、酸素酸素低下指数(oxygen desaturation index: ODI)、酸素飽和度90以下の経過時間(time spent below 90% oxygen saturation: T90)、急性の酸素飽和度の低下(acute desaturations: T90desaturation)、非特異的な酸素飽和度の変化(non-specific drifts in oxygen saturation: T90non-specific)と、心血管疾患の関係を8.8±2.7年追跡しました。185例(6.5%)の心血管死を解析した結果、T90はリスク上昇と有意に関係(HR 1.21 P<0.001)、ODIは有意ではありませんでした (HR 1.13 P=0.06)。T90は交絡因子調整後も有意なリスク因子(HR 1.16 P = 0.004)でした。男性においてT90>12分以上は、心血管疾患死亡率の増加と有意に関係(HR 1.59 P=0.006)を認めました。T90の変化の約20.7%(5.7–48.5)は、非特異的な酸素飽和度の変化に起因すると考えられました。T90desaturationと、T90non-specificはそれぞれ心血管死と関係はしていましたが、予測能の向上には寄与しませんでした。T90は心血管疾患死亡の独立した予測因子であることがわかりました。T90は酸素飽和度の変化の結果であるだけではなく、非特異的な酸素飽和度の変化を反映していると考えられ、ともに心血管死の予測因子として役立つことがわかりました。詳しくは論文をご覧ください。
→https://academic.oup.com/eurheartj/article-abstract/41/4/533/5255631
睡眠時無呼吸症候群は心血管疾患のリスク因子であることが知られていますが、T90(酸素飽和度90以下の経過時間)が一つの独立した予測因子であることが明らかになりました。睡眠時無呼吸症候群の重症度評価には、無呼吸低呼吸指数(apnea hypopnea index: AHI)が有名ですが、T90も重要な指標になりそうです。
2020/1/21(火)、睡眠時の低酸素負荷と心血管疾患死亡率の関係を調べた研究「Composition of nocturnal hypoxaemic burden and its prognostic value for cardiovascular mortality in older community-dwelling men」の結果をまとめました。