2020/1/27(月)、心房細動に対するダパグリフロジンの効果について調べた研究「Effect of Dapagliflozin on Atrial Fibrillation in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus: Insights from the DECLARE-TIMI 58 Trial」の結果をまとめました。

2020/1/27(月)、心房細動に対するダパグリフロジンの効果について調べた研究「Effect of Dapagliflozin on Atrial Fibrillation in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus: Insights from the DECLARE-TIMI 58 Trial」の結果をまとめました。SGLT2阻害薬は、2型糖尿病に対して、血圧を下げ、体重を減らし、左室リモデリングに対して有益的に働き、心不全入院を減らし、心血管死を減らすことが知られています。今回、SGLT2阻害薬が心房細動(Atrial fibrillation: AF)、心房粗動(atrial flutter: AFL)に対してどのような影響を及ぼすかを検討しました。「DECLARE-TIMI 58」試験は、SGLT2阻害薬ダパグリフロジンの有効性と安全性を検討した研究で、心血管疾患リスクを持つ2型糖尿病10186例、既知の動脈硬化性心血管疾患6974例、合計17160例を対象に、心房細動または心房粗動を認めた1116例と認めなかった例に対して解析を行いました。結果、ダパグリフロジンは心房細動及び心房粗動のリスクを19%有意な低下(264 vs 325 events、7.8 vs 9.6 events per 1000 patient-years、HR 0.81 95%CI 0.68 to 0.95 P=0.009)を認めました。心房細動及び心房粗動の減少は、ベースラインの心房細動及び心房粗動の有無に関わらず一貫性(Prior AF/AFL HR 0.79 95%CI 0.58-1.09 No AF/AFL HR 0.81 95%CI 0.67-0.98 P-INT 0.89)を認めました。同様に、動脈硬化性心血管疾患あり(HR 0.83 95%CI 0.66-1.04)、心血管リスクあり(HR 0.78 95%CI 0.62-0.99 P-INT 0.72)、心不全の既往あり(HF HR 0.78, 95%CI 0.55-1.11 No HF HR 0.81 95% CI 0.68-0.97 P-INT 0.88)もダパグリフロジンによる心房細動及び心房細動の減少に影響を与えませんでした。さらに、性別、虚血性脳卒中の既往、HbA1c、BMI、血圧、eGFRによっても影響(all P-INT>0.20)を受けませんでした。ダパグリフロジンは、心房細動及び心房粗動の総数を有意に減少(337 vs 432 incidence rate ratio 0.77 95%CI 0.64-0.92 P=0.005)を認めました。ダパグリフロジンは2型糖尿病において心房細動及び心房粗動を減少させることが明らかになり、この効果は心房細動、動脈硬化性心血管疾患、心不全の既往の有無とは無関係に一貫して認められました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.ahajournals.org/doi/abs/10.1161/CIRCULATIONAHA.119.044183
SGLT2阻害薬のダパグリフロジン(フォシーガ)が心房細動の発症リスクを減少させるという驚くべき研究結果です。論文の考察において、SGLT2阻害薬の利尿作用による心房負荷の軽減、血圧低下、体重減少、血糖値変動の抑制などが挙げられています。いずれにせよ、心房細動が減るのは良いことです。

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