2020/3/5(木)、急性心筋梗塞二次予防ガイドラインのアドヒアランスと死亡率についての研究「Cumulative Adherence to Secondary Prevention Guidelines and Mortality After Acute Myocardial Infarction」の結果をまとめました。

2020/3/5(木)、急性心筋梗塞二次予防ガイドラインのアドヒアランスと死亡率についての研究「Cumulative Adherence to Secondary Prevention Guidelines and Mortality After Acute Myocardial Infarction」の結果をまとめました。急性心筋梗塞後の二次予防において、ガイドラインで推奨されている項目のアドヒアランスの達成が生存率にどのような影響を与えるのか調べるために、ノースカルフォルニア州において、2008年から2014年、急性心筋梗塞後30日時点での生存者25778例、退院後90日時点に広域統合健康システム(large integrated healthcare system)の登録者24200例を対象に、全死亡と二次予防ガイドラインの推奨項目を達成出来ているかどうかの関係を調べました。具体的には、
・β遮断薬
・レニンアンジオテンシンアルドステロン系阻害薬
・脂質管理薬
・抗血小板薬
・血圧140/90mmHg未満
・LDLコレステロール100mg/dL未満
・非喫煙
以上の項目を30日後時点と90日後時点において調べました。脂質の管理目標の達成については90日後時点のみで調べました。結果、ガイドラインのアドヒアランスの達成項目は、30日後時点で6項目(35%)、6項目(34%)、90日後時点で6項目(31%)、7項目(23%)でした。90日後時点の死亡率は、ガイドラインのアドヒアランスの達成項目が0項目から3項目である場合と比較して、7項目の場合43%低下(HR 0.57 95%CI 0.49–0.66)、6項目の場合31%低下(HR 0.69 95%CI 0.61–0.78)を認めました。30日後時点においても同様の傾向でした。ガイドラインのアドヒアランスの達成項目数が多ければ多いほど、有意な死亡率の低下を認めました。急性心筋梗塞後、ガイドラインで推奨されている薬物療法、危険因子の管理、生活習慣の改善を達成することは、生存率の向上と関係を認め、全て達成している場合は最も高い生存率を認めました。
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/JAHA.119.014415
急性心筋梗塞の二次予防において、ガイドラインのアドヒアランスの重要性をより強調する研究結果です。薬物療法4項目、血圧と脂質の管理2項目、禁煙1項目で、一つ一つは医学的に特に難しいものではありませんが、全て完璧に達成出来ているかどうかを問われると、全て完璧に達成出来ていることは少ないのではないでしょうか。急性期治療も重要ですが、慢性期における治療継続の重要性を改めて再確認する論文です。

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