2020/3/4(水)、卵の摂取と心血管疾患のリスクについて調べたアメリカの研究「Egg consumption and risk of cardiovascular disease: three large prospective US cohort studies, systematic review, and updated meta-analysis」の結果をまとめました。

2020/3/4(水)、卵の摂取と心血管疾患のリスクについて調べたアメリカの研究「Egg consumption and risk of cardiovascular disease: three large prospective US cohort studies, systematic review, and updated meta-analysis」の結果をまとめました。
卵の摂取(egg intake)と心血管疾患リスクとの関係を調べるために、アメリカにおける3つのコホート研究、「Nurses’ Health Study」83349例、「NHS II」90214例、「Health Professionals’ Follow-Up Study」42055例、心血管疾患の既往なく、2型糖尿病なし、がんの既往なしを対象として、心血管疾患の主要アウトカムとして非致死的心筋梗塞、致死的冠動脈疾患、脳卒中としました。32年の追跡の結果、心血管疾患は14806例発生しました。卵の摂取の頻度が高い群はBMIが高く、スタチン治療を受けていなく、赤肉摂取が多い傾向にありました。卵の摂取は週に1回から5回未満の場合がほとんどでした。多変量解析の結果、少なくとも1日1個以上の卵を食べる群は、月に1回未満しか卵を食べない群と比較して、他の生活習慣や食事因子を調整後、心血管疾患の発症リスク(HR 0.93 95%CI 0.82 to 1.05)の増加を認めませんでした。前向きコホート研究、 172万0108例、心血管疾患13万9195例のメタ解析では、1日あたり卵1個増えることと、心血管疾患の相対リスク(pooled relative risk 0.98 95%CI 0.93 to 1.03 I2=62.3%)との関連を認めませんでした。同様に、141万1261例、冠動脈疾患5万9713例のメタ解析(RR 0.96 95%CI 0.91 to 1.03 I2=38.2%)、105万9315例、脳卒中5万3617例のメタ解析(RR 0.99 95%CI 0.91 to 1.07 I2=71.5%)においても関連は認めませんでした。地域解析によると、卵の消費とアメリカ人(RR 1.01 95%CI 0.96 to 1.06 I2=30.8%)、ヨーロッパ人(RR 1.05 95%CI 0.92 to 1.19 I2=64.7%)では有意な関連は認めませんでしたが、アジア人(RR 0.92 95%CI 0.85 to 0.99 I2=44.8%)においては卵の摂取と心血管疾患リスクが減少傾向を認めました。1日1個までの卵の消費と心血管疾患リスクは全体として関連は認めなく、アジア人においては心血管疾患リスクの減少と関連している可能性が認められました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.bmj.com/content/368/bmj.m513.long
卵はコレステロールが含まれているからと悪者扱いされることが多かったのですが、心血管疾患を増加させないことがわかりました。さらには、アジア人においてはわずかながら心血管疾患を減少させる傾向があることがわかりました。

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