2020/3/30(月)、抗凝固薬や抗血小板薬の内服と鈍的頭部外傷における頭蓋内損傷の有病率について調べた研究「Prevalence of Intracranial Injury in Adult Patients With Blunt Head Trauma With and Without Anticoagulant or Antiplatelet Use」の結果をまとめました。

2020/3/30(月)、抗凝固薬や抗血小板薬の内服と鈍的頭部外傷における頭蓋内損傷の有病率について調べた研究「Prevalence of Intracranial Injury in Adult Patients With Blunt Head Trauma With and Without Anticoagulant or Antiplatelet Use」の結果をまとめました。抗凝固薬、抗血小板薬内服中の成人における鈍的頭部外傷(Blunt Head Trauma)による頭蓋内損傷(intracranial injury)の有病率を明らかにするために、2007年から2015年まで多施設前向き観察研究を実施しました。アメリカの3つの救急部で、鈍的頭部外傷にて頭部画像検査を行った9070例を対象に、アスピリン、クロピドグレル、ワルファリンをカルテ記録から収集、直接抗凝固薬direct oral anticoagulants)は詳細の記録はありませんでした。一次転帰は頭部画像検査による有意な頭蓋内損傷の有病率、二次転帰は脳神経外科的介入です。結果、平均年齢53.8歳(IR 34.7 to 74.3)、男性60.7%、抗血小板薬またはワルファリン内服中1323例(14.6%)、アスピリン635例、クロピドグレル109例、ワルファリン406例でした。凝固異常のない例と比べて、頭蓋内損傷の相対リスクはアスピリン(HR 1.29 95%CI 0.88 to 1.87)、クロピドグレル(HR 0.75 95%CI 0.24 to 2.30)、ワルファリン(HR 1.88 95%CI 1.28 to 2.75)でした。アスピリンとクロピドグレルの併用では2.88倍(95%CI 1.53 to 5.42)に上昇しました。ワルファリン内服中、アスピリンとクロピドグレルの併用中は頭蓋内損傷のリスクの上昇を認めましたが、アスピリン単独ではそこまでではありませんでした。臨床医はワルファリン、アスピリンとクロピドグレルの併用している患者に対しては頭部画像検査の閾値を下げるべきだと論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0196064419312843
ワルファリン、抗血小板薬2剤併用で出血リスクが高まることは既知ですが、アスピリン単独ではそこまでではないこと、クロピドグレル単独では減少しているように見えることは意外でした。ワルファリンと新規の直接経口抗凝固薬の差も気になります。いずれにせよ、抗血小板薬、抗凝固薬の内服中は転倒や打撲等の頭部外傷に注意が必要です。


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