2020/4/15(水)、左主幹部冠動脈の非責任病変の脂質豊富な大きなプラークと長期臨床転帰の関係について調べた研究「Lipid-rich large plaques in a non-culprit left main coronary artery and long-term clinical outcomes」の結果をまとめました。血管内超音波(intravascular ultrasound: IVUS)の後方散乱波(integrated backscatter: IB)によって組織の組成、プラーク脆弱性の情報を得ることが出来ます。責任病変以外の脆弱性プラークは将来の臨床イベントと関連しています。経皮的冠動脈形成術施行後の非責任病変の左主幹部冠動脈(left main coronary artery: LMCA)の血管内超音波の後方散乱波によるプラーク性状と長期の臨床転帰との関係を調べるために、左主幹部冠動脈以外の経皮的冠動脈形成術を受けた366例を対象に、左主幹部冠動脈の血管内超音波を解析、脂質豊富(Lipid-rich)な大きいプラーク(large plaque)は、プラークボリュームと脂質組成の比率の平均との差で定義されます。主要有害心血管事象は心臓死、心筋梗塞、予定外の再血行再建としました。結果、平均年齢68.5歳、男性79.8%、中央値6.0年間の追跡、主要有害心血管事象は脂質豊富なプラークで有意に多く(P=0.006)認めました。心臓死(P =0.02)、心筋梗塞(P=0.004)、予定外の再血行再建(P=0.02)は脂質豊富で大きいプラークにて有意に多く認めました。多変量Cox回帰分析の結果、脂質豊富な大きなプラークは主要有害心血管事象を有意に上昇(HR 1.74 95%CI 1.17-2.58 P=0.006)を認めました。経皮的冠動脈形成術における非責任病変の左主幹部冠動脈における脂質豊富な大きなプラークは長期の主要有害心血管事象と関連していることがわかりました。詳しくは論文をご覧ください。
→https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32029305
左主幹部のリピッドリッチなラージプラークは非責任病変であったとしても、心血管疾患リスクの上昇と関係があるという報告です。心臓死、心筋梗塞、予定外の再血行再建のリスクが74%も上昇しています。「ISCHEMIA」試験では早期の侵襲的治療の優越性は否定的でしたが、このようにプラーク性状によっては治療が必要な対象はあると考えられます。そのためにはプラーク性状の評価も重要な要素になって来ます。詳しくは主治医とご相談ください。
2020/4/15(水)、左主幹部冠動脈の非責任病変の脂質豊富な大きなプラークと長期臨床転帰の関係について調べた研究「Lipid-rich large plaques in a non-culprit left main coronary artery and long-term clinical outcomes」の結果をまとめました。