2020/4/8(水)、Xa因子阻害薬関連の頭蓋内出血についての研究「Factor Xa Inhibitor-Related Intracranial Hemorrhage (FiX-ICH): Results from a Multicenter, Observational Cohort Receiving Prothrombin Complex Concentrates」の結果をまとめました。

2020/4/8(水)、Xa因子阻害薬関連の頭蓋内出血についての研究「Factor Xa Inhibitor-Related Intracranial Hemorrhage (FiX-ICH): Results from a Multicenter, Observational Cohort Receiving Prothrombin Complex Concentrates」の結果をまとめました。経口Xa因子阻害薬(oral factor Xa inhibitors)の登場後、頭蓋内出血(intracranial hemorrhage: ICH)後の抗凝固効果の中和について考えなくてはいけなくなりました。多くのガイドラインでは、プロトロンビン複合体濃縮液製剤(prothrombin complex concentrates: PCC)の使用を提案していますが、限られた頭蓋内出血のエビデンスしかありませんでした。Xa因子阻害薬関連頭蓋内出血に対するプロトロンビン複合体濃縮液製剤の安全性と有効性を調べるために、2015年から2019年まで、アピキサバン、リバーロキサバン関連頭蓋内出血で、プロトロンビン複合体製剤の投与を受けた例を対象とした多施設後ろ向き観察コホート研究を実施しました。安全性と有効性の2つの二次解析を行いました。安全性解析では、基準としてプロトロンビン複合体製剤の投与後、退院または30日後までの間の血栓性事象の発生としました。プロトロンビン複合体製剤の投与から24時間以内の1回以上の画像追跡にて脳内出血、くも膜下出血、硬膜下出血を認めた例を止血性の有効性としました。一次有効性転帰はmodified Sarode criteriaに基づいた止血良好(excellent or good)としました。二次転帰は院内死亡率、滞在期間、投与関連反応、血栓性事象としました。安全性転帰の基準を満たす633例、そのうち433例は止血性有効性の基準を満たしました。354例(81.8% 95%CI 77.9-85.2)は止血良好でした。25例(3.8%)は26血栓性事象、22例はプロトロンビン複合体製剤投与後、最初の14日間以内に発生しました。投与関連反応の記録があったのは1例でした。コホート全体では、院内死亡率は19.0%、平均の滞在期間は集中治療室2.0日、入院期間6.0日でした。アピキサバン、リバーロキサバン関連頭蓋内出血に対してプロトロンビン複合体製剤を投与することは高い止血良好率(81.8%)で、3.8%の血栓症を伴いました。Xa因子阻害薬関連頭蓋内出血に対するプロトロンビン複合体製剤の臨床有効性について、無作為化比較対照試験が必要と論文ではまとめられています。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.120.045769
経口直接抗凝固薬のうち、アピキサバン、リバーロキサバン、エドキサバンの3つは、2020年4月現在、直接中和薬がないため、プロトロンビン複合体濃縮液製剤(ケイセントラ)が使用されます。結果、3.8%の血栓症の発生、81.8%の止血効果との報告です。止血薬の有効性、安全性の評価は難しいところです。


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