2020/4/15(水)、若年期の外来受診間の血圧変動が中年期の心機能へ与える影響を調べた研究「Association Between Visit-to-Visit Blood Pressure Variability in Early Adulthood and Myocardial Structure and Function in Later Life」の結果をまとめました。

2020/4/15(水)、若年期の外来受診間の血圧変動が中年期の心機能へ与える影響を調べた研究「Association Between Visit-to-Visit Blood Pressure Variability in Early Adulthood and Myocardial Structure and Function in Later Life」の結果をまとめました。血圧の長期の変動(variability)は収縮期血圧とは独立して心不全の予測因子になるかどうか、外来受診間の血圧の変動は、若年期から心臓構造や心機能へ潜在的に影響を与え、心不全のリスクと関係があるのではないか、成人早期の血圧変動と中年期の心機能や器質的心疾患との関係を調べました。「CARDIA」(Coronary Artery Risk Development in Young Adults)試験、1985年、ベースライン18歳から30歳、30年以上の追跡データを用いたコホート研究を実施しました。バーミンガム、オークランド、シカゴ、ミネアポリスの4ヶ所から、参加者2400例を対象に、2010年、血圧測定8回、25年後に心エコー検査1回を実施、外来受診時の収縮期血圧、拡張期血圧の変動は、標準偏差、平均実変動(average real variability)、平均値とは独立した変動を評価しました。25年後の心エコー検査によって、心臓の構造、収縮機能、拡張機能を測定しました。結果、男性1024例(42.7%)、アフリカンアメリカン976例(40.7%)、25年後の平均年齢50.4歳でした。収縮期血圧の変動幅が、1SD変動するごとに、平均値とは関係なく、左室心筋重量指数(Left ventricular mass index: LVMI)の上昇(β SE 2.66 0.4 g/m2 P<0.001)、拡張機能として拡張早期僧帽弁輪運動速度(early peak diastolic mitral annular velocity: é)の低下(β −0.40 cm/s, P<0.001)、左室充満圧として僧帽弁流入速度の拡張早期僧帽弁輪運動速度の比(mitral inflow velocity to early diastolic mitral annular velocity: E/é)の上昇(β 0.37 cm/s P<0.001)、長軸方向グローバルストレイン(global longitudinal strain: GLS)の悪化(β 0.17 P=0.002)を認めました。同様に、収縮期血圧の変動が、1SD変動するごとに左室心筋重量指数の上昇(β 3.21 g/m2 P<0.001)、拡張機能の低下、é(β −0.24 cm/s P0<0.001)、E/é(β 0.23 cm/s P0<0.001)、長軸方向グローバルストレインの悪化(β 0.13 P=0.02)を認めました。標準偏差、変動実変動、血圧変動の指標においても一貫していました。CARDA試験のコホート研究の結果、外来受診間の収縮期血圧、拡張期血圧の変動は、平均血圧値とは独立して心臓の構造、収縮機能、拡張機能に有害な影響を及ぼす可能性があると論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://jamanetwork.com/journals/jamacardiology/article-abstract/2764758
血圧値そのもではなく、血圧変動自体がその後の心機能へ影響を与えるという報告です。25年も追跡していること、LVMI、é、E/é、GLS等、詳細な心エコー評価を全例行っているところがすごい研究です。


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