2020/4/9(木)、生活習慣改善と中年女性の脳卒中の長期リスクの低減について調べた研究「Hypothetical Lifestyle Strategies in Middle-Aged Women and the Long-Term Risk of Stroke」の結果をまとめました。

2020/4/9(木)、生活習慣改善と中年女性の脳卒中の長期リスクの低減について調べた研究「Hypothetical Lifestyle Strategies in Middle-Aged Women and the Long-Term Risk of Stroke」の結果をまとめました。脳卒中の発症における生活習慣改善の長期効果について、観察研究、NHS(Nurses’ Health Study)のデータを用いて調べました。食事以外3つ、禁煙、1日30分以上の運動、肥満や過体重がある場合にはMBIの徐々な低下、食事関係、魚を週3回以上食べること、非加工赤肉を食べるのを週3回以下にすること、ナッツを1日1回以上食べること等、としました。パラメトリックG検定を用いて、脳卒中の26年間リスクを算出しました。結果、女性59727例、1986年のベースラインの平均年齢52歳、生活習慣介入がなかった場合の26年リスクは、全脳卒中4.7%、虚血性脳卒中2.4%、出血性脳卒中0.7%を見積もられています。食事以外の介入を行った場合、26年リスクは、全脳卒中3.5%(95%CI 2.6%–4.3%)、虚血性脳卒中1.6%(95%CI 1.1%–2.1%)と推定されました。魚とナッツの摂取を増やし、非加工赤肉の摂取を減らすという食事介入を行った場合も同様の全脳卒中リスクの減少を認めました。虚血性脳卒中リスクは、非加工赤肉、加工赤肉の摂取の減少によって減少し、出血性脳卒中リスクは魚の摂取の増加によって減少しました。中年女性において、生活習慣修正は、全脳卒中の26年間リスクを25%減少させ、虚血性脳卒中リスクを36%減少させると推定されました。継続して食生活の修正を行うことは全脳卒中の26年リスクを23%減少させると推定されました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/STROKEAHA.119.026761
50歳を過ぎても生活習慣を改善することによって、脳卒中の26年リスクを最大で25%減少させることが出来るという報告です。生活習慣の改善とは、具体的には、煙草を吸わないこと、1日30分以上の運動を続けること、減量または適正体重の維持、肉類の摂取を控えること、魚とナッツの摂取を増やすこと、です。一つ一つはそれほど難しくないかも知れませんが、全部完璧に出来ているという人は少ないのではないでしょうか。生活習慣の改善で25%も脳卒中リスクを予防可能というのは重要なメッセージです。


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