2020/3/31(火)、青年期の肥満に対してリラグルチドの無作為化比較対照試験「A Randomized, Controlled Trial of Liraglutide for Adolescents with Obesity: NN8022-4180 Trial」の結果をまとめました。

2020/3/31(火)、青年期の肥満に対してリラグルチドの無作為化比較対照試験「A Randomized, Controlled Trial of Liraglutide for Adolescents with Obesity: NN8022-4180 Trial」の結果をまとめました。肥満(Obesity)は小児期では治療オプションが限られた慢性疾患です。リラグルチドは青年期の肥満の体重管理に有用ではないかと考え、無作為化二重盲検試験を実施しました。12歳から18歳の青年期で肥満で生活習慣の指導のみで改善を認めなかった例を対象に、リラグルチド群とプラセボ群に分け、56週間の治療期間、26週間の追跡期間しました。一次転帰は56週後のベースラインからのBMIの標準偏差スコアの変化としました。結果、リラグルチド群125例、プラセボ群126例、リラグルチド群はプラセボ群と比較して、56週後のベースラインからのBMIの標準偏差の有意な改善(推定差 −0.22 95%CI −0.37 to −0.08 P=0.002)を認めました。BMIの少なくとも5%以上の低下はリラグルチド群113例中52例、プラセボ群105例中20例(推定差% 43.3% vs 18.7%)、10%以上の低下は33例、9例(推定差% 26.1% vs 8.1%)でした。リラグルチド群はプラセボ群と比べて、BMI(推定差 −4.64%)、体重(推定差 −4.50kg −5.01%)において顕著な低下を認めました。投与終了後、リラグルチド群はプラセボ群と比べて、BMI標準偏差スコアの顕著な増加(推定差 0.15 95%CI 0.07 to 0.23)を認めました。リラグルチド群はプラセボ群と比べて消化管有害事象(64.8% vs 36.5%)、治療中断に至る有害事象(10.4% vs 0)を高頻度に認めました。両群とも重大な有害事象(2.4% vs 4.0%)を少数認めました。リラグルチド群で1例の自殺がありましたが、臨床試験とは関係は薄い(unlikely to be related to the trial treatment)と考えられました。青年期の肥満に対して、生活習慣の指導に加えてリラグルチドを投与することは、プラセボに比べて、BMI標準偏差スコアの有意かつ顕著な低下を認めました。
https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa1916038
BMIの標準偏差スコアのベースラインからの変化が−0.22が、どの程度の効果なのかイメージが掴みにくいですが、小児、青年期の肥満の改善に有効であるという臨床試験の結果です。リラグルチド(ビクトーザ)を自費で減量目的に使うクリニックもありますが、効果が立証されたと言うことも出来るでしょう。


PAGETOP