2020/5/17(火)、アトルバスタチンと全身の血管イベントの減少について調べた研究「Atorvastatin Reduces First and Subsequent Vascular Events Across Vascular Territories The SPARCL Trial」の結果をまとめました。

2020/5/17(火)、アトルバスタチンと全身の血管イベントの減少について調べた研究「Atorvastatin Reduces First and Subsequent Vascular Events Across Vascular Territories The SPARCL Trial」の結果をまとめました。「SPARCL」(Stroke Prevention by Aggressive Reduction in Cholesterol Levels)試験は、脳卒中または一過性脳虚血発作の既往があり、冠動脈疾患の既往がない4731例において、アトルバスタチンとプラセボを比較しました。アトルバスタチンは脳卒中の初回の発生、血管イベントの初回の発生を減らしました。SPARCL試験の事後解析では、血管疾患の発生の全て(初発か再発か)、血管領域(脳血管、冠動脈、末梢動脈)を減らす効果があるか検証しました。全血管イベントの治療効果、全体、各血管領域別、marginal比例ハザードモデルによって要約しました。血管イベント発生率は各治療群ごとに推定しました。結果、プラセボ群では、6年間において初年度41.2、全体で62.7例の血管イベントが推計されました。アトルバスタチン群では、初年度164例、全体で390例、血管イベントが減少(HR 0.68 95%CI 0.60 to 0.77)を認めました。全体でイベント減少は、脳血管177例、冠動脈170例、末梢動脈43例でした。6年間全体では、アトルバスタチン治療によって100例中20件の血管イベントが防げたと推定されます。脳卒中、一過性脳虚血発作の既往がある例で、アトルバスタチンによって血管イベントを予防出来た数は、初回のイベント予防の2倍以上でした。総イベント減少は、脳卒中、一過性脳虚血発作後の疾病負荷を軽減するアトルバスタチンの臨床効果を裏付けていると論文ではまとめています。
http://www.onlinejacc.org/content/75/17/2110
動脈硬化性疾患に対するスタチンの有用性は明らかであり、スタチン関係の臨床試験はもう一周した印象がありましたが、アトルバスタチン(リピトール)において、脳血管疾患、心血管疾患、末梢動脈疾患、全ての血管疾患を減少させたという報告です。あまり浸透していませんが、脳血管疾患、心血管疾患、末梢動脈疾患等、全身全ての血管疾患という概念で、total vascular disease、total vascular managementなどと表現することもあります。


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