2020/4/27(月)、SARS-CoV-2とACE2、アンジオテンシンII、レニンアンジオテンシン系阻害薬との相互作用について入手可能なエビデンスからの日本の見解「Interactions of coronaviruses with ACE2, angiotensin II, and RAS inhibitors – lessons from available evidence and insights into COVID-19」の内容をまとめました。

2020/4/27(月)、SARS-CoV-2とACE2、アンジオテンシンII、レニンアンジオテンシン系阻害薬との相互作用について入手可能なエビデンスからの日本の見解「Interactions of coronaviruses with ACE2, angiotensin II, and RAS inhibitors – lessons from available evidence and insights into COVID-19」の内容をまとめました。SARS-CoV-2(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2)の急速な拡大はCOVID-19のパンデミックを現在引き起こしています。最近、アンギオテンシン変換酵素2(angiotensin-converting enzyme 2: ACE2)は、SARS-CoV-2が宿主の細胞内へ侵入する際のレセプターとして働いていることが示されて来ました。アンジオテンシン受容体拮抗薬(angiotensin receptor blockers: ARBs)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(angiotensin-converting enzyme inhibitor: ACEI)は、動物実験レベルではACE2のアップレギュレーションに関わっていると報告されており、COVID-19においてARB、ACE阻害薬は罹患率、死亡率の増加に関係しないか懸念が浮上しています。一方で、動物実験のデータからは、SARS-CoV-2と非常に近いSARS-CoVの感染マウスにて、ARBは急性肺損傷の悪化を防ぐことから、ARBはCOVID-19肺炎に対して防御的に働く可能性も示唆されています。いずれにせよ、大切なことは現在において、ARB、ACE阻害薬がSARS-COV-2の感受性の増加に関わるのか、COVID-19の転帰、重症化を悪化させるのかについて、臨床的なエビデンスはありません。入手可能なデータからは、ARB、ACE阻害薬は、特にハイリスクとされる心血管疾患、高血圧の治療において、現在手に入るエビデンスに基づいたガイドラインの指示に従った薬物療法は継続されるべきであることが推奨されます。詳しくは下記をご覧ください。
https://www.nature.com/articles/s41440-020-0455-8
日本においても海外と同様に、ACR阻害薬、ARBは継続されるべきであるという見解が出されました。日本高血圧学会のホームページでも紹介されています。本件は一旦は一件落着ということで良いでしょう。
http://www.jpnsh.jp/topics/673.html


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