2020/3/2(月)、高血圧、心筋梗塞後の狭心症の不安と痛みに対する音楽療法について調べた研究「Music therapy in patients with hypertension and early post-infarction angina; 15-year experience of the MUSIC study」の結果をまとめました。

2020/3/2(月)、高血圧、心筋梗塞後の狭心症の不安と痛みに対する音楽療法について調べた研究「Music therapy in patients with hypertension and early post-infarction angina; 15-year experience of the MUSIC study」の結果をまとめました。この研究の目的は、音楽療法(music therapy)は、心筋梗塞後の狭心症(post-infarction angina: EPA)、高血圧において、不安感と痛みを減らす有用性があるかどうかを調べることです。心筋梗塞後の狭心症は急性心筋梗塞の長期予後に関係していることがわかっています。不安は、心臓への作業負荷の増加と、全身性の神経系活動の増加を引き起こします。2002年から、高血圧、心筋梗塞後狭心症350例を対象に、試験介入前、試験介入後において、音楽療法によって不安と胸痛が減るかどうかを検討しました。30分の落ち着くような(sedative)音楽療法を受ける群175例、対照群175例に無作為に割り振りました。不安、痛みの感覚、痛みの苦痛を、胸痛が起こったエピソードとその30分後にビジュアルアナログスケールにて評価しました。多変量分散分析の結果、不安、痛みの自覚、痛みの苦痛において、試験介入前と試験介入後で有意差(p=0.0110)を認めました。事後独立t検定、一変量反復分散分析においても有意差(p=0.0146)を認め、落ち着くような音楽、不安、痛みの感覚、痛みの苦痛は全て有意に改善(p=0.0108)しましたが、一方で、対照群では有意差を認めませんでした。独立t検定においても、音楽療法群は対照群と比べて、試験介入後、不安、痛みの自覚、痛みの苦痛が有意に減少(p=0.0246)を認めました。落ち着くような音楽は、高血圧、心筋梗塞後狭心症のある場合、対照群と比べて、不安、痛みを軽減することがわかりました。心筋梗塞後狭心症のエピソードがある場合に、高血圧の薬物療法に加えて、落ち着くような音楽を補助的(adjuvant)に用いることは、ベネフィットがあるかも知れませんと論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
http://www.onlinejacc.org/content/75/11_Supplement_2/15
音楽療法のエビデンスは限られるのですが、心筋梗塞後の狭心症において、不安や痛みの軽減に効果的であったとの報告です。音楽による心理的効果があることは同意です。落ち着くような音楽(sedative music)というのが大事らしいので、そのへんも詳しく知りたいところです。


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